超巨大ブラックホール誕生の謎解明に繋がる新天体を発見 国立天文台ら
2024年9月5日 13:10
誕生から10億年後の宇宙には、数多くの超巨大ブラックホールが存在していたことが、観測により明らかとなっている。超巨大ブラックホールは、太陽の10億倍以上の質量を持ち、超遠方にあるにもかかわらず、非常に強い光を放つ高光度クエーサーとして観測される。
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その明るさは銀河を凌ぐが、誕生間もない宇宙でなぜこのように巨大質量天体が形成されたのかは、厳密には分かっていなかった。最も有力なシナリオは銀河同士の合体だが、それを証明するためには合体前の暗い状態の銀河を見つける必要があるが、超遠方にある暗い天体を見つけ出すのは至難の業だ。
国立天文台は8月30日、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCを用いた大規模探査データにより、誕生9億年後の宇宙に非常に暗い成長初期段階のクエーサーのペアを発見したと発表した。
今回の発見は、国立天文台、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構、愛媛大学、名古屋大学の研究者らによるもので、研究チームは、さらにアルマ望遠鏡観測でこれらの低光度クエーサーを含む銀河を調べ、近い将来に合体して1つの銀河になることを突き止めたという。
今回発見されたペア銀河にどのような恒星が存在しているのかまでは確かめられていないが、今後ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡による観測で詳細が明らかになるだろう。これらの情報が揃えば、初期宇宙における巨大銀河成長のシナリオがより鮮明に描けるようになると期待される。
宇宙には今回取り上げたどの銀河よりも古い星がある。それはてんびん座の方向の、地球から約200光年の宇宙空間にあるメトシェラ星(正式名称:HD140283)だ。ウィキペディアによれば推定年齢は136億6000万年から152億6000万年で、上限値であれば宇宙の年齢より古いことになる。
今回発見された低光度クエーサーを含む銀河には、メトシェラ星とよく似た星が見つかるのか、全く新種の星が見つかるのか非常に興味深い。(記事:cedar3・記事一覧を見る)