和田興産は地元不動産業者との協業で「端境期」を乗り切れるか

2024年9月4日 09:36

 和田興産(8931、東証スタンダード)。神戸/阪神間を地盤とする独立系不動産業者。「ワコーレ」ブランドのマンション開発・分譲事業を基軸に、「戸建て事業」「賃貸事業」「その他不動産業」を展開している。

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 和田興産を覗き込んでみたいと思った契機は、フィスコ(独立系金融調査・情報機関)のレポートだった。6月5日発のレポートには、こんな見出しがつけられていた。

 「分譲マンション需要は販売価格の上昇が続くなかでも依然堅調」
 「25年2月期は分譲マンションの端境期も業績横這い予想」
 「中計に3カ年合計で利益計画を大幅に上振れそうな状況」

 説明文の詳細は省くが、「分譲マンションの端境期」が指摘されている。和田興産の溝本俊哉社長自身、こう語っている。

 「分譲マンションのワコーレは神戸市で供給戸数・棟数で25年間連続1位。周辺地域も含め2万戸・500棟を超える実績を積み上げてきた。・・・今後は人口減少や少子高齢化、世帯当たりの人員が減少していく傾向にあり、住まいのあり方も変革を余儀なくされる事態はもう目の前に迫っている・・・」

 がフィスコが指摘した「中計で3カ年合計の利益計画を、大幅に上振れそうな状況」に対し、和田興産が公開している2024年2月期から26年2月期の中計を「売上高1224億円(前3カ年中計比99)、営業利益118億円(107%)、純益64億円(106%)」としている。

 「利益で大幅に上振れそう」の表現は、やや微妙。が斯界に通じたアナリストの多くは、「和田興産の強みがどこまで発揮されるかの如何では・・・」とする。

 指摘される「強み」とは、エリア密着型。地域の不動産業者との協働体制を執っている。マンション建設地を不動産業者が掘り起こす。和田興産がワコーレマンションを建設し販売は不動産業者に委ねる(販売コストは背負わない)。不動産業者は土地提供者との間でネックを背負いこまない形で仕入れるから、販売時の利益があらかじめ想定できるという枠組みだ。

 前2月期までの平均営業増益率は19.37%。対して今2月期計画は連続増配65円配を含め「0.4%の増収(390億円)、3.8%の営業増益(47億円)、2.3%の最終増益(27億円)」と、慎重な構え。

 端境期を乗り越えられるのか。新規中計の利益増は実現できるのか。興味深い。

 本稿作成中の株価は1300円台終盤、予想税引き後配当利回り3.76%。予想PBR0.49倍。1月安値1189円から7月高値1516円まで買われた後の調整場面。要は今期の収益動向、そして新中計の進捗具合遺憾となろうが・・・過去10年間の修正済み株価パフォーマンスは2倍弱。まずは好配当利回りを享受しながら、様子見か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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