カレー店展開で首位:壱番屋の強みはFC制と親会社が礎

2024年9月3日 09:24

 街のラーメン店とカレー屋では、どちらの数が多いか。「圧倒的にラーメン店」が正解。カレー屋の4900店余に対しラーメン店は2万9000件強。

【こちらも】ラーメン好きは、ハイデイ日高の中長期計画を食べてみるのも一法か

 カレー屋の市場規模はいささかデータ的に古いが、矢野経済研究所によると「2011年で833億円」。が矢野経済では発表時点で「2016年には912億円規模が見込まれる」として、その理由を今回の主役である「壱番屋(7630。東証&名証プライム)の強力な店舗展開力」とした。

 ちなみに2022年2月時点の店舗数上位ランキングは「壱番屋が展開するCoCo壱番屋(ココイチ)1285店/マイカリー食堂104店/日乃屋カレー88店/ゴーゴーカレー80店/上等カレー57店」。

 何故、ココイチはかくも圧倒的な店舗展開が可能なのか。「ハウス食品の子会社⇔カレー粉の安定的な供給」「トッピングの豊富さ⇔規模に伴うコスト吸収」などが指摘されるが、最大の要因は「FC体制」。

 フランチャイジーを大量に配備している、という理由ではない。一定の基準を満たす社員の独立によるFC制の導入である(元社員のオーナー数556)。

 2024年2月期末でココイチの総売上高は1054億円。国内のグループ店舗数1245、海外店舗数212(1994年にハワイに進出し現在、12の国・地域で展開)。

 収益動向も順調。前2024年2月期までの平均営業増益率は22.87%。前2月期の実績「売上高551億3700万円、営業利益47億1500万円」に対し今2月期も、「11.5%の増収(615億円)、10.36%の営業増益(52億円)、15.4%の最終増益(31億円)」と続伸計画。

 24年3月1日付けで1対5の株式分割を実施しており、実質連続増配。今期の立ち上がりは至7月の5カ月間の既存店売上高で、前年同期比104.6%と順調な滑り出しを見せている。

 そんな言い方はないだろうと反論されるかもしれないが、ハウス食品は良い子会社を持ったと言える。7月11日付けで『価格改定に関するお知らせ』とするリリースを出している。「各種材料や光熱費、物流費、人件費など、さまざまなコストが継続的に上昇していることを受け・・・」ての「カレー」「トッピング」「サイドメニュー」の平均値上げ率が記されている。

 前記の様にココイチは「社員出身」のFC制を主力としている。値上げをしやすい環境・体制が整っていると言ったら口が過ぎようか・・・

 本稿作成時点の株価は1000円台トビ台、予想税引き後配当利回り1.24%水準。大揺れ相場の最中:8月5日の980円から戻り基調だが、IFIS目標平均株価は1175円。押し目拾いに徹し好配当を享受するのが賢明か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連記事

最新記事