ラーメン好きは、ハイデイ日高の中長期計画を食べてみるのも一法か
2024年9月1日 15:42
端から唐突だが、デンマークに「食品産業大臣賞」がある。本稿の主役ハイデイ日高(7611。東証プライム。以下、日高)が2006年、外食産業では初めて受賞している。どんな賞で、どんな点が評価されたのかは各位のリサーチにお任せする。
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ラーメン主体の飲食店を展開する日高を覗いて見たいと思ったキッカケは、アレルギーに悩む知人の「実感」だった。長らく食材アレルギーと向き合って生きている彼が「日高の様な企業に出会うとホッとする」としたのは、日高はラーメンの具材を全て示し「アレルギーを起こしかねないかどうか」がチェックできる仕様になっているからだ。
例えばとんこつラーメンでは、「卵、小麦粉、乳製品、ごま、牛肉、大豆、鶏肉、ゼラチン、豚肉使用」と公にしている。「たかが・・・」と言うなかれ。公のデータこそないが「日本では全人口の1~2%が食品アレルギー」と推定されている。そして食品アレルギーの治療法はない。アレルギー食材を避ける以外に手立てはないのだ。
1973年に現会長の神田正氏により「来々軒」が設立され、事業は立ち上げられた。飲食業は時の流れに影響を受ける。日高もそれは決して例外ではない。コロナ禍の影響で2021年2月期/22年2月期にはそれぞれ、28億円弱/35億円強の営業赤字を余儀なくされた。
がその後の回復ぶりには、目を見張らされるものがある。23年2月期には6億1500万円の営業黒字に転じ、前24年2月期には「653.2%営業増益(46億3700万円)」。そして今2月期は「6.6%の増収(520億円)、12.1%の営業増益(52億円)」計画で立ち上がり、開示済みの第1四半期は「売上135億円、営業利益14億7100万円」と順調な推移。既存店売上高も上半期ベースで11.2%増。収益予想の上振れを匂わせる内容である。
そうした勢いを示すように至26年2月期の中計も上方修正している。「売上高540億円(24年2月期比10.9%増収)、営業利益率10.0%(0.5P上昇)、店舗展開485(30店舗増)」。更に中計を通過点とし29年2月期の「売上高600億円、営業利益率10.0%、ROE12.0%以上、期末店舗数550」を標榜し、明示している。
本稿作成中の時価は2700円台半ば、予想税引き後配当利回り1%余。3月の2500円余りから6月の3155円まで買われ8月5日に2462円まで全体相場に揺さぶられ、戻し過程。IFIS目標平均株価3600円。中長期計画を買ってみたいと思うが如何に。(記事:千葉明・記事一覧を見る)