銀河系外での知的生命探査を開始 米国SETI協会

2024年8月31日 10:31

 SETIはSearch for Extra Terrestrial Intelligenceの略で、地球外知的生命探査を意味するが、探査活動そのものを指す場合と、米国SETI協会を指す場合がある。

【こちらも】1万個超の太陽系外惑星系で知的生命体を探索 UCLAらの研究

 米国SETI協会は、日本でも1980年代に放映されたテレビ番組COSOMOSのナビゲーターとして知られる、米国の天文学者カール・セーガンらによって設立された知的生命探査推進組織だ。同協会は8月21日、従来銀河系内をターゲットに実施してきた知的生命探査を、銀河系外宇宙に範囲を拡張して進めていくことを明らかにした。

 米国SETI協会の科学者らによる国際研究チームは、西オーストラリアのマーチソンワイドフィールドアレイ(MWA)を用いて、低無線周波数(100メガヘルツ)にフォーカスした銀河系外からの知的生命体に起因する電波探索を開始した。MWAによる観測では、これまでに銀河系内で定期的に信号を発する電波源を複数発見した実績があるが、銀河系外からの電波にフォーカスするのは初めてだ。

 MWAは、広い視野での観測が可能で、一度の観測で2800個の系外銀河からの電波観測ができる。今回の取り組みでは、これらの系外銀河のうち、1300個について地球からの距離が特定できているため、そこから地球に届く信号出力強度を推定する。

 ターゲットとなる知的生命体は、人類よりもはるかに進んだテクノロジーを持ち、恒星エネルギーを自由にコントロールし、活用できるレベルにあると想定している。

 銀河系内電波源は、数万光年程度の距離だが、それでも現生人類が地球を大移動し始めたばかりのころに発せられた電波をキャッチすることになる。銀河系外からの電波となると、少なくとも数百万光年、場合によっては数十億光年、あるいは百億光年以上の遠方からやってくる。これは人類誕生よりもはるか昔に発せられたもので、太陽や地球が誕生する前に発せられた可能性もある。

 現時点で知的生命体の兆候を捉えるには至っていないが、この取り組みは従来の探査範囲を著しく拡張し、知的生命発見の可能性を別次元のものにする。今後の新発見のニュースに期待したいものだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連記事

最新記事