恒星フレアが赤色矮星系の生命居住可能性を脅かす可能性 ハワイ大らの研究

2024年8月7日 09:26

 地球外生命が存在できる可能性のある主な星の候補には、地球同様に太陽規模の恒星のハビタブルゾーンを周回する惑星と、太陽より小規模の赤色矮星のハビタブルゾーンを周回する惑星が考えられる。ハワイ大学は5日、赤色矮星が発する恒星フレアが、生命居住環境に及ぼすリスクについて評価した研究に関する情報が発表した。

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 銀河系の恒星の75%は赤色矮星で、その数はとてつもなく多い。だが赤色矮星の明るさは、どんなに大きく見積もっても太陽の10%未満で、ハビタブルゾーンは極端に狭い。

 他方で緩やかに核融合反応が進むことから、太陽規模の恒星に比べ10倍以上の寿命があり、赤色矮星系では生命をはぐくむための時間は十分確保できる。だが最近の研究で、赤色矮星でも紫外線放射を伴う高エネルギーの恒星フレアが発生することが判明し、生命居住可能性への悪影響が懸念されている。

 今回の研究では、NASAの紫外線宇宙望遠鏡GALEXによる、30万個にも及ぶ赤色矮星の紫外線フレアデータを解析。赤色矮星における紫外線フレア量が、従来見積もっていた値の3~12倍もあることを突き止めた。

 このことは紫外線フレアが惑星大気を著しく浸食し、RNAの生成を大きく阻害する可能性があることを意味する。だがなぜ赤色矮星でこのように強力な紫外線フレアの放出が起こるのか、原因は不明だという。

 この研究結果は、赤色矮星系での生命居住可能性が楽観視できないものであることを意味するが、あくまでも地球環境と比較して厳しいという意味で、生命が誕生しえないとの明言はない。

 なお地球に最も近い恒星のαケンタウリも赤色矮星で、ハビタブルゾーンを周回する惑星の存在が確認されている。地球からの距離はたったの4.2光年で、地球に生命が住めなくなった場合の有力な避難候補となるだろうが、今回の研究結果が正しければ、紫外線対策をしっかりと考えなければならない。とは言えそれが必要になるのは、今から10億年以上先の話だが。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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