電子顕微鏡世界首位の日本電子に覚える、中長期投資の資産株の魅力

2024年7月31日 08:51

 日本電子(東証プライム)。電子顕微鏡で世界首位。磁気共鳴装置、MS(質量分析計)でも存在感を誇っている。

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 終戦の翌年:1946年に、電子顕微鏡の試作・研究開発が始まっている。49年に前身の日本電子光学研究所が設立され、第1号の「JEM-1」が完成された。世界首位を促した入り口は、1955年。仏原子力委員会から、JEM-56電子顕微鏡を受注した点に求められる。

 存在感は、収益動向にも顕著。2021年3月期こそ「5.8%減収、25.7%営業減益、24円配据え置き」も以降は、「25.3%増収、170.7%営業増益、26円増配50円配」「17.5%増収、70.8%営業増益、16円増配66円配」「7.2%増収、14.0%営業増益、36円増配102円配」。

 そして今3月期は「5.0%増収(1830億円)、9.0%営業増益(300億円)、前期の記念配剥落88円配」計画。ちなみに今期を最終年度とする中計では「売上高1700億円、営業利益240億円、ROE10%以上」を掲げているが、計画達成は中計を上回ることを意味する。

 電子顕微鏡の他にも世界的に存在感を見せつけているのが、以下の2部門。

 *磁気共鳴装置:物質を構成する原子核と電子の微小な振る舞いを拾い、含まれている多くの情報から物質の分子構造を原子核レベルで解析する。1956年に3MM-1を国産初とし開発している。

 *質量分析装置:物質の特定や濃度を微量でも計測が可能。GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)やMALDI-TOFMS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析)など、ラインアップを充実させている。

 ともに注力中の半導体製造装置で、有効性が注目されている。また3Dプリンターといった製品にも生かされ米・独の提携先に納入拡大。医療機器に活用し、新たな市場開拓にも寄与する方向とされている。

 前記した引き合いを契機に現法を立ち上げたフランスをはじめ、現在24拠点で130を超える国に製品が収められている。

 そんな日本電子の本稿作成中の時価は全体相場に押され5000円台半ば、予想税引き後配当利回り1.25%水準。昨年来の右肩上がりで5月15日に7546円を実現、相場環境悪の中で目下調整場面。が、ROEは既に19%台。時価の予想PERは12.83倍と過熱感はなし。押し目買い姿勢で臨むもよし・・・、過去10年近くの修正株価のパフォーマンス5倍強を勘案すると資産形成株の対象として中長期構えで臨む対応にも魅力を覚えるが・・・如何に。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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