低温物流で国内首位、海外拡充に注力のニチレイは9期連続増配予定

2024年7月28日 21:56

 冷凍食品市場が着実な拡充傾向にある。コロナ禍が契機となった感がある。総務省の家計調査によると、2020年の冷凍食品への1世帯当たりの支出金額は前年比12.4%増の8787円。2022年には1万円台に達している。

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 コロナ禍という契機もあろうが、背景としては「共働き世帯の増加」「高齢化世帯の増加」「単身世帯増」なども、指摘できよう。かくいう当家も75歳・73歳の老体二人暮らし。冷凍庫の冷凍食品が、明らかに増えている。

 増加基調に身を置く企業には、フォローの風が吹いているといえる。どんな企業が冷凍食品を・・・を調べてみた。1位は日本たばこ産業/2位は味の素/3位はニチレイ(東証プライム)。低温物流に注力している、ニチレイを覗いて見た。

 2023年3月期の総売上高に占める低温物流の割合は35.6%と、加工食品の40.2%に迫る勢いを見せている。21年3月期以降の収益推移は、「平均3.9%増収、4.6%営業増益」。

 決算資料では前期について低温物流に関し「大阪市港湾地区を中心に、下半期入り円安による輸入貨物の減少や物価高に伴う消費の低迷を受け、在庫水準及び荷動きが悪化。2024年問題を目前に労働力不足による荷役作業・輸配送コストが上昇」としながらもセグメント別概況では、「前期比5.4%の増収、4.5%の営業増益」を示している。

 ニチレイでは長期経営目標/中計を掲げている。

 2030年度の長期目標として「売上高1兆円、海外売上高比率30%、営業利益率8%」を標榜し、実現のステップとして至25年3月期の「売上高6600億円、海外売上高比率20%、営業利益率5.6%」を掲げている。

 そして実現の中心施策として「7月にベトナムに設けた新拠点を活かし、タイ・マレーシア・ベトナムなど成長余地の大きいアジアでの低温物流の拡充を図る」としている。冷凍設備能力では国内1位、世界5位。過去10年間の海外売上高は、年平均成長率14%(2014年3月期564億円/24年3月期1460億円)。アジアを軸に海外部門の強化に積極的姿勢を示している。

 ちなみに今3月期の計画は「1.5%増収(6900億円)、5.7%営業増益(390億円)、1.2%最終増益(248億円)、8円増配82円配」。

 本稿作成中の時価は3770円水準、予想税引き後配当利回り1.7%余り。3月の年初来高値4204円から同安値3392円(7月)まで調整し、戻り基調。過去10年近くの修正済み株価パフォーマンス3.4倍。どう対応するかは投資家に委ねる。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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