地球の水は暗黒彗星によってもたらされた? ミシガン大の研究

2024年7月24日 09:31

 地球で生命が誕生したのは液体の水があるためだが、地球の水の起源は厳密にはわかっていない。また海にはあれだけ大量に水があるのに、地球全体質量に占める水の質量の割合は、たったの0.02%だ。

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 宇宙から見ると地球の海は、ほんのわずかな水をたたえた水たまりのようなものに過ぎない。とは言え、地球ほど大量の液体の水をたたえる惑星や衛星は、まだ発見されていない。

 従来、地球の水は彗星や小惑星によってもたらされたと漠然と考えられてきた。だがミシガン大学の研究者らは、彗星でも小惑星でもない暗黒彗星が、地球に水をもたらした可能性があるとの研究結果を発表した。

 それらの起源は、太陽系の外縁部に位置するエッジワースカイパーベルトでもオールトの雲でもなく、火星と木星の間に位置している小惑星帯である可能性が高いという。

 研究には、すべての地球近傍天体(NEO)のうちの0.5~60%は、暗黒彗星であるという見解も含まれている。暗黒彗星という言葉は一般的ではないが、研究では、重力以外に氷の昇華によって推進力(これを非重力加速度と呼んでいる)を得ている、彗星のような天体をそう呼んでいる。

 研究では、NEO、つまり小惑星帯の天体ではなく、地球のごく近傍にある天体のうち、7つの暗黒彗星をピックアップし、それらの由来を現在の軌道から逆算。小惑星帯から飛来した可能性が高いことを突き止めている。

 その決め手は、暗黒彗星の軌道が重力加速度だけでは説明できない点と、氷の昇華による非重力加速度がどの程度か特定できた点にある。

 非重力加速度の大きさが特定できれば、暗黒彗星の氷の量もおおよそ推定ができるが、NEOに占める暗黒彗星の割合の推定値には、大きな幅(先に示した通り0.5~60%)があり、地球の水の起源がすべて暗黒彗星であるとは断言していない。だが、地球の水の大部分が太陽系外縁部からもたらされたという従来の常識に、一石を投ずるものであることに間違いはないだろう。

 なお研究の詳細は、科学雑誌「イカロス」に掲載されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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