免震技術・トンネル工事で定評の奥村組には、創業者:奥村太平氏の息吹が流れ続けている
2024年7月13日 10:01
奥村組(東証プライム)。中堅ゼネコン。が「免震技術」や「トンネル施工技術」で定評の、特異な存在でもある。2022年3月期以降、3期連続の増配。そして今期も「6円増配243円配(配当性向71.6%)」計画。
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奥村組は創業者:奥村太平氏が、土木建築業で名を成していた、森本千吉氏(後に国会議員)に1907年に弟子入り(今や懐かしさを感じる言葉だが)。21年森本氏から「独立」を箴言され土木建築請負業を立ち上げたことに始まる。
進取の気性にはじまり奥村氏の発想法は、奥村組の歴史を語る時には「奥村太平魂」が生み出した積み重ねと言って過言ではない。以下の様な事実がそれを如実に示していると捉えることが出来る。
★通天閣再建: 大阪のシンボルだった通天閣は、戦時中の火事もあり解体された。戦後10年を経て、地元民が寄付を募り再建を図った。出来上がった設計図は、奥村組に持ち込まれた。当時の企業規模などからリスクを伴う仕事だった。が奥村氏の「成功すれば会社にとっての財産になる」の一言で受注。1956年、新通天閣が生まれた。
★シールド工法: シールドマシンと呼ばれる機械でトンネルを掘り進んでいく工法。「強味」と呼ばれる所以は、1965年に日本初の「泥水による都市トンネル掘進技術」を実用化したことに求められる。早々に東京都水道局の工事に採用された。
★青函トンネル工事受注: 世界最長の海底トンネルを共同受注。最盛期には職員35名/作業員150名を投入。5年を要し1979年に完成させた。
★1981年に本州・四国連絡橋工事の鷲羽山トンネル工事受注: 世界初の2階建ての4つ目トンネル(左右2本のトンネルが2段構えの、世界初の4つ目状トンネル)だった。
★日本初の免震ビル: 1986年に自社の筑波研究所管理棟で免震ビルを完成。以降、管理棟を活かしマグニチュードに応じた耐震度を観測。軽減度の測定に活かし、更なる免震ビルの開発を進めた。
★BRIDGE: 1995年に関西TVが(2019年からはフジTVも)放映したドラマだが、奥村組が手掛けた「JR六甲道駅の復旧工事」がモデルとされる。
★受賞: 2001年にハニカムセグメント方式による同時施工(シールドトンネルの急速施行)で、国土技術開発賞最優秀賞を受賞。
記し出したらキリがない。ちなみに2023年には「陸上養殖」による、とらふぐの試験販売を始めている。
本稿作成中の時価は5000円水準。予想税引き後配当利回り3.9%水準。過去9年半余の修正済み株価パフォーマンスは約85%。判断は読者諸氏に・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)