アジア市場拡大が目を引く:サイゼリヤが、国内拡大策を執り始めた
2024年7月10日 09:14
サイゼリヤ(東証プライム)。低価格のイタリアン料理店:サイゼリヤを展開。食材は豪州の自社工場で生産。海外展開が利益向上に顕著な傾向。
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収益動向を追うとコロナ感染症の影響を受けたことは容易に窺えるが、同時に企業姿勢や海外展開の「功」を見て取ることもできる。
2020年8月期は「19%減収、38億1500万円営業損失」、21年8月期は「0.3%減収、22億6400万円営業損失」。が例えば21年8月期を詳細に覗き込むと、こんな事実が確認できる。
「日本市場」: 感染者数の減少や政府の景気刺激策で売り上げは回復傾向も、ソーシャルディスタンス(懐かしい用語?)を勘案し客席数を減少。結果、前年比9.6%減少(861億8100万円)/営業損失72億1000万円。
「豪州食材工場」: 21.6%増収(48億4600万円)、3000.4%営業増益(6億2800万円)。
「アジア市場」: 香港市場が感染症再拡大の影響受けるが、中国経済のコロナ渦からの急回復が貢献。28.0%増収(402億1000万円)、152.1%営業増益(44億2500万円)。
その後、全体的な回復基調:「14.0%増収、4億2200万円の営業黒字計上」(22年8月期)「27.0%増収、1607.6%営業増益」(23年8月期)。そして今8月期は「15.1%の増収(2110億円)、81.4%の営業増益(131億円)」計画。第2四半期時点の実績はそれぞれ「1046億3400万円、59億3400万円」と上々。既存店売上高の推移も「上期:121.9%、3-5月期:124.5%」と好調。
そうした中、前記の「海外市場の好調」がより明確になっている。前8月期の「日本市場:19.1%増収(1204億8200万円)、14億9100万円営業損失/アジア市場:45.5%増収(627億4000万円)、278.2%営業増益(84億5000万円)」に対し、今期第2Qは「日本市場:20.5%増収(673億2900万円)、営業利益3400万円に黒転/アジア市場:33.2%増収(372億9200万円)、134.7%営業増益(55億5600万円)」といった状況。
しかし、サイゼリヤにとっては「アジア市場拡充」と並行し「国内市場の復権」も重要課題。
こんな具体策が伝えられている。「25年8月期中に全店でモバイル注文を実施/省力化」。その一方で24年4月の新卒数は約120名(23年4月比約2倍)、「国内店舗の純増に備える」。
本稿作成中の時価は5400円水準。4月高値6170円の調整場面。が過去9年余の調整済み株価パフォーマンスは3.4倍強。国内市場の回復を前提に、中長期構えで臨むのが賢明か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)