脱コロナで「会議難民時代」再来!? スペースマーケットは好環境を活かせるか

2024年6月20日 11:33

 スペースマーケット(東証グロース)。住宅や会議室など空きスペースの、貸手・借手のマッチングスペースを展開している。収入は利用手数料が主軸。

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 あえて今回覗き込んでみようと考えたのは、四季報のパラパラ読みで気づいた収益動向。「ここにきて拡充しているのは何故なんだ」という思いだった。上場(2019年12月)直後の19年12月期は「51.1%増収、4300万円の営業利益」と、過去を振り返ると上々。

 が20年12月期はコロナ禍に晒され「7.9%減収、1億2700万円の営業損失」。21年12月期は「52.7%増収、5900万円の営業利益」と回復基調かと思ったら、22年12月期は0.4%の増収も「1億1400万円の営業損失」。

 この限りでは19年12月20日の上場時に、公開価格590円に対し初値1306円という市場の期待を満たしているとは言い難い。それが前12月期は「26.9%増収、1億100万円営業利益」と再度、期待を持たせた。そして今12月期計画は、「15.9%の増収(56億7500万円)、15.5%の営業増益(1億1600万円)」と「新たな段階に移行したよ」と宣言する状況。

 何故なんだ、と思うのが当然。しかも前期末のROE・ROA▲32.5%/▲8.2%に対し、今期予想は27.1%/6.8%。「儲け上手の企業にそんな容易になれるものか」と、「眉につば」しながらも覗きを進めた。

 いくつかのビジネスの礎を強固にするための施策が執られていることを知った。

 ◆ダンス用途の利用が3年で約10倍に伸長: 日本初のプロダンスリーグで屈指とされるダンスチームと、スポンサー契約を締結。日本のダンス市場の潜在規模は600億円とも言われる。今年のパリ五輪では「ブレイキン(アクロバティックなダンス)」が新種目として採用される。「更なる市場拡大とダンス人口の増加」を見込み、有力チームと提携。それが「3年で10倍」を実現している。

 ◆野村不動産と連携: 野村不動産が運営する、法人向けサテライト型シェアオフィスと連携。約3000スペースがスペースマーケットのマッチングの対象になる。コロナ禍で縮小した企業の出社頻度の回復で、会議室やオフィススペースの不足が顕在化している。「会議難民」なる言葉が生まれる状況。その意味で記した野村不動産との連携が持つ意味は大きい。

 要するにフォローの風が吹き始める中で「チャンスを確実にものにしよう」という動きが執られ、収益状況に反映というわけだ。

 本稿作成中の時価は290円弱。2月の434円から5月の265円まで整理され、戻り基調入り。昨夏には時流を反映するように560円を超える場面を示した。収益動向と睨めっこをしながら560円を待ってみたい気もするが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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