デクセリアルズの新中計への姿勢を評価したい
2024年5月24日 09:25
デクセリアルズ(東証プライム)。旧ソニーグループの1社:ソニーケミカルが再上場。「異方性導電膜」/「光学弾性樹脂」というニッチな材料・部材に強みを持つ。
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前者は「樹脂の中に導電粒子を分散させ、導電と絶縁の特性を兼ねたフィルム型接合剤」、後者は「スマートフォン・デジタル&ノート型パソコンなど用のディスプレイ樹脂」。ニッチだが不可欠な部材。
そんなデクセリアルズから、興味深い複数のリリースが届いた。
1つは、『中期経営計画2028「進化の実現」とパーパスの策定』。
先の中計(2019年4月策定)では新規領域の自動車事業の成長や、自動車に次ぐ事業の柱としたフォトニクス事業の立ち上げを軸に掲げた。先行して開発・提供した高付加価値製品の拡大により、スマートフォン市場の成長を上回るディスプレイ樹脂の伸びもあり4期連続の過去最高の営業利益更新を実現した。
至2029年3月期の新中計では、「売上高1500億円(24年3月期比42.6%増)/事業利益500億円(49.7%増)/純益350億円(63.6%増)」を掲げ、経営指標として「EBITDA640(400)」を標榜している。
かつそのための戦略として、「自動車事業売上高300億円(年平均成長率16.5%)、フォトニクス事業売上高150億円(16.5%)まで成長させる」としている。
そして「パーパスの策定」は、こう理解すればよい。パーパスは企業経営では「志」「企業の存在意義」を意味する。つまりパーパス経営とは「自社の存在意義を明確にし、いかに社会に貢献するかを定め、それを経営の軸として事業を行うこと」を意味する。いまパーパス経営が重視される大きな要因は、サスティナビリティを重視する気運の高まりに求められる。
デクセリアルズでは2022年7月に「パーパス策定プロジェクト」を始動。世代や立場を超えて車内から選出されたワーキングメンバーが、外部講師のリードのもと活発な議論を経て「素案」を作成。翌23年には会社案とし社員投票も実施、改良を積み重ね今回のパーパスを決定した(パーパス:『つなごう、テクノロジーの進化を』の子細はリリースでご確認を)。
また新中計に向けた『役員報酬制度の見直し』とするリリースにも惹かれた。例えば代表取締役の報酬構成は「基本報酬50%+業績賞与30%+株式報酬20%」から、「30%+30%+40%」に変る。新中計に向けた取締役等の貢献意欲を向上させるため、としている。
本稿作成中の時価は5800円台、予想税引き後配当利回り2.15%。4月高値から1000円弱押している。再上場初値で買い持ち続けていると、調整値ベースの株価パフォーマンスは3.7倍水準。新中計の姿勢を買ってみるのも一法か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)