障がい者就労を促すエスプール・リタリコに次ぐ企業の上場を、株式市場も待ち焦がれている

2024年5月8日 15:55

 厚労省の「障害者雇用状況の集計結果」によると、2020年末時点の「雇用障害者数」は61万3958名(前年比1万6172名増/2.7%増)。「実雇用比率」は2.25%(前年比0.05P増)。1960年に「障害者雇用促進法」が施行されて以来「数/比率」とも、過去最高になった。

【こちらも】障害者就労支援:LITALICOとエスプールの切磋琢磨を株式市場も期待している

 厚労省の資料を更に読み込むと、「2011年以降の10年間で精神障害者の雇用数は6.8倍に増えている」。「法定雇用率は今後段階的に増え、2026年には2.7%にまで上昇するだろうと予測される」と言う。

 障害者も身体障害者・知的障害者・精神障害者と多様。が最も雇用の機会に恵まれづらいのは、精神障害者。その意味で精神障害者の雇用が増加傾向を強めているのは、評価したい。

 が従業員数43.5人(短時間雇用者を含む)に求められている障害者雇用に対応している実態に関しては、増加傾向とはいえ、未だ厳しさを覚えざるをえない。「43.5~100人未満:1.84%」「100~300人未満:2.08%」「300~500人未満:2.11%」「500~1000人未満:2.26%」「1000人以上:2.48%」。

 言葉を選ばずに言えば「社会経済復興・拡大に転じた今だからこそ法定雇用率を責務として背負う企業は、その員数(率)を高めることで世の中に役立つ企業と呼ばれるにふさわしい」と考える。

 ただ企業側に「障害者雇用と言っても、決して容易ではない。推進するための力添えが欲しい」とする声が大きいのも事実。「国の、実行企業への優遇策や予算計上の範囲では魂入れずの誹りは免れない」といった類の指摘も聞かれる。

 そうした状況下、障害者雇用と真っ向から取り組む(上場)企業の存在は頼もしい。前にも記したが、農園経営を介し存在感を高めているエスプール(東証プライム)や、2021年春東証プライムに上場したLITALICO(リタリコ)。

 リタリコの歴史は2005年に始まる。前2023年3月末で、全国260カ所以上の拠点を設け障害者の就労や学びを支援するサービスを提供している。プログラミングなど高度な教育の展開も図っている。

 施設運営で培ったノウハウを活かし、障害者福祉領域のインターネットプラットフォームサービスを展開。自社運営の施設サービスとプラットフォーム事業の組み合わせで、「障害のない社会をつくる」というビジョンの実現と取り組んでいる。

 前3月期の「22.5%増収、27.7%営業増益、1.5円増配6.5円配」に続き今3月期計画は「24.1%増収(300億円)、31.5%営業増益、1.5円増配8円配」計画。第3四半期の実績から、着地に狂いはありえない。

 リタリコは公開価格1000円に対し1880円で生まれた。本稿作成中の時価は2000円トビ台。年初の1794円から昨年来高値2856円の奪還を目指した動きを見せ始めている。IFIS目標平均株価は3450円と更なる上値。じっくりと腰を据え中長期構えが賢明と思えるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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