月より小さな準惑星で、地熱活動の痕跡を確認 アリゾナ州立大らの研究
2024年2月22日 15:53
天体の地殻活動は、その内部に熱源がなければ起きない。地球クラスの天体内部に熱源があることは常識だが、月のような小さな天体は内部の熱がかなり早い段階で冷え、地殻活動のない死んだ星だと最近まで考えられてきた。
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だがここ数年の研究で、月の内部にも熱源があるらしいことが明らかとなってきた。またNASAが打ち上げた探査機ニューホライズンズによって、月よりも小さな冥王星でも地質学的活動があることが確かめられている。
このような背景から、月よりも小さな天体でも地質学的活動があっても不思議ではないと考えられるようになってきた。アリゾナ州立大学の科学者らは、月よりも小さな2つの準惑星「エリス」と「マケマケ」でも、地熱活動が存在する可能性があると発表した。
冥王星では表面写真で地熱活動が確かめられたが、今回のエリスとマケマケは、よりユニークな方法で地熱活動の痕跡が突き止めらた。その方法は、これらの天体が発する光に含まれるメタンのスペクトル分析だ。メタンを構成する水素が、一般的な水素なのか重水素なのかを識別し、それらの比率D/H(Dが重水素、Hが水素)を調べ、これらの天体で最近地熱活動があったのかどうかを確認した。
地熱活動がない場合は、メタンの起源は40億年以上前で重水素の比率は高く、D/Hは高めの数値を示す。一方で地熱活動がある場合には、メタンが地熱活動により生成されるため水素の比率が高まり、D/Hは低めの数値を示すはずだという。
今回の研究では、エリスとマケマケにおけるメタンのD/Hは、40億年前に生成されたメタンのそれと比べて3分の1以下の値を示し、地熱活動がつい最近まで存在していた可能性が高いとの結論に至っている。
このような月よりも小さな天体で、なぜ何十億年も誕生時の熱源が維持されたままなのかは厳密には解明されていないが、内部原子核反応や近接天体との重力潮汐効果による発熱などが考えられる。今回の発見で、これらの星に直接探査機を送り込む機運が高まっていくかもしれない。
なお研究の詳細は、太陽系研究に特化した科学論文雑誌「イカロス」で公開されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る)