QBの訪問理美容事業 「収益的に成功しているとは言い難い」とするが、意図するところは評価に値する
2024年2月7日 15:41
キュービーネットホールディングス(東証プライム。以下、QB)。低価格ヘアカットサロン「QBハウス」を内外で展開している。1996年に神田美土代町に第1号店を開設。2007年6月に年間来店客数が1000万人を突破。昨年6月末時点で内外に575店を展開、1700万人超の髪の毛をカットしている。
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QBを改めて覗いてみたいと思ったのは、創業者:故小西國義氏の「創業の意図」が世の中の認知を得ているかどうかを確認したいと思ったからであり、人づてに聞いた「へーえ、そんなビジネスもやっているのか」と感心した?事業の現状を知りたいと考えたからだ。
前者について小西氏は例えば「不要なサービスを施し、その料金を顧客負担にするのは如何なものか」など、従来の理髪店の料金体系に疑念を抱き「カットのみ1000円(現在は1200円~1350円)」のQBを立ち上げた。
いま、「カットのみ1000円」式を謳う理髪店が増えている。そうした時代は、QBの収益動向にも反映されている。
2020年6月期こそ「87.8%営業減益」と沈んだが、以降は立ち直り・拡大基調に転じている。今24年6月期も「8.7%増収(247億3000万円)、12.3%営業増益(24億円)、10.8%最終増益16億円」、2円増配22円配」計画。第1四半期は前年同期比「13.3%増収、42.6%営業増益、48.7%最終増益」で通過している。ちなみに今期の7-12月の既存店売上高は、前年同期比114.0%。
後者は、QBハウス訪問理美容事業。店舗に足を運べない入院者や介護施設入居者向けに、ヘアカット・シャンプー・顔剃り・カラー・パーマの装備を施した「サロンカー」が用意されている。何故・実態を問い合わせた。広報担当者から実名でこんな返信を受けた。
「2011年に始めた。先輩業者とのコラボ。が1年で相棒が破綻。中古のサロンカーを買い取って引き継いだ。少子化時代で地方の家族で営む理美容店は減少、都市部での高齢者の理美容も容易ではなくなる。そんな思いから始めたわけだが正直、収益的に成功しているとは言い難い」。
そもそもQBは「不条理」是正が原点となって生まれた。介護施設の多くは「出張理美容師」を探し求めている。そこに足を踏み入れること自体に価値があると思うが如何か・・・
QBの本稿作成中の時価は1500円出入り水準。予想税引き後配当利回り1.2%余。昨年11月に1750円まで買われた後の調整を経て小戻し場面。IFIS目標平均株価1775円を勘案すると押し目買い姿勢で臨むのが妥当だろうが、QBには是非とも果たしてもらいたい課題がある。
前中計(至今6月期)は例えば営業利益は、今期計画(24億円)達成でも及ばない33億円が掲げられていた。至27年6月期の新中計が来期から始まる。目標数字もさることながら達成の可否が、投資家にとっては課題と言えよう。推移を当面は見守るのも一法か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)