サラブレッド? ゲームカード・ジョイコ、地味だが凄い:酒井重工の「上方修正」のそれぞれの理由

2023年12月23日 11:57

 ゲームカード・ジョイコHD(東証スタンダード)の収益が絶好調ぶりを見せている。遊戯用プリペイドカードシステムの大手。今24年3月期も「61.4%増収、12.0%営業増益、30.2%最終減益、25円増配60円配」計画で立ち上がったが11月10日に増収率は据え置きも、利益を通期で上方修正した。

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 新たな今期予想は「61.4%増収(350億円)、90.4%営業増益(85億円)、32.6%最終増益(57億円)」。上方修正を「スマートパチスロ対応のユニットの売上が順調に推移。懸念されていた部材の調達難が一部解消され、量産効果による原価の低減が図れた」と説明した。

 前にも企業・産業欄で書いたが、パチンコ・パチスロ業界はいま転換期を迎えている。矢野経済研究所はそのあたりをこう解説している。

 「遊技機の規制改正で22年1月末までに、パチンコ・パチスロ店は新規制に対応可能な遊技機へのシフトを余儀なくされた。移行を断念し閉店・廃業も相次いだ・・・これを機にコロナ禍で頭を抑えられてきた出店意向の高い業者が反転攻勢を仕掛ける可能性が高い・・・」。

 パチンコ・パチスロ業界は「勝ち組(拡大組)」が牽引する時代になるという見方だ。ゲートカード・ジョイコHDは、勝ち組相手に事業の拡充を図っていると捉えることができる。

 詳細は省くが、前身は住友商事系のパチンコ店向けプリペイド会社だった日本ゲームカード。それが三井物産や三菱商事・NTTデータ系との間で再編を経て2011年、現社の設立に至っている。いわば斯界のサラブレッド。

 時価は1900円台半ば、配当利回り2.4%超。昨年8月高値:5450円からの整理場面も最終局面入り。サラブレッドに対しIFIS目標平均株価は7770円と応じている。

 失礼ながら「サラブレッド」の感は抱けず「地味な」感を抱く酒井重工業(東証プライム)だが、収益力の堅実さでは、後塵を拝さない。ロードローラーなど道路機器の専業大手。21年3月期以降は、経済の立ち直りに歩調を合わせるように右肩上がりの収益動向。

 22年3月期に「97.3%営業増益、85円増配165円配」、23年3月期も「81.2%営業増益、35円増配200円配」、そして今3月期も「4.9%増収、17.7%営業増益、8.0%最終増益、15円増配215円配」計画で立ち上がり11月9日に上方修正。

 新たな今期予想は「5.2%増収(331億円)、31.68%営業増益(33億円)、35.77%最終増益(23億円)、70円増配270円配」。為替動向(収益寄与や原材料インフレ)という不安定要因を認めつつ「北米市場の好調推移への期待・・・」とする当たり、強気の積算が読み取れる。

 時価は5900円台前半、配当利回り3.64%。昨年初めからほぼ右肩上がりの展開で11月に倍値近い6190円まで買われ、小幅調整場面。配当を享受しつつ押し目拾いに徹する構えが肝心か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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