生命起源分子が宇宙から惑星に漂着する可能性 ケンブリッジ大らの研究

2023年11月24日 09:04

 地球は、人類によって生命の存在が確認されている宇宙で唯一の場所だが、地球生命の起源は謎につつまれたままだ。生命の根幹となる、DNAのような非常に複雑な分子構造は、地球でゼロの状態から偶然誕生したのか。それとも生命の材料となる有機化合物分子が、宇宙から地球に飛来して、それが何らかの偶然が重なった結果もたらされたのか。はたまたDNAそのものが宇宙由来のものなのか、人類はこの疑問に対してまだ明確な答えを有していない。

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 もしもDNAが宇宙由来であれば、生命は宇宙の中にあふれかえっていることだろう。だが人類が100年近くの間、血眼になって探し回っているのに、いまだに地球以外で生命を発見できていないことから、DNAが宇宙のどこにでもあるとは考えにくい。

 いっぽうでJAXAの探査機”はやぶさ”が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルで、アミノ酸およびビタミンB3が無傷の形で含まれていることが確認されていることから、生命の材料となる有機化合物分子が宇宙のいたるところにある可能性は高い。

 ケンブリッジ大学は15日、生命起源分子が宇宙からの未知の惑星に漂着する条件について、研究結果を発表した。この研究は、はやぶさがもたらした情報などに基づき、宇宙に生命起源分子が存在している前提で、それが未知の惑星に漂着する可能性を数値解析シミュレーション等を用いて探ったものだ。惑星が秒速15km以下の比較的ゆっくりした速度で運動している場合、生命起源分子が熱や衝撃などで分解されることなく、漂着できる可能性があると結論付けている。

 太陽系外周部に位置するカイパーベルトには、たくさんの小天体が含まれ、それが何らかの原因で海王星の引力に引き寄せられ、太陽系内周部へ到達する。現在でも彗星はこのメカニズムによって地球の近くまで飛来すると考えられているが、その途中、木星付近を通過し、その引力の影響を受ける。

 その結果先に示した条件が整い、かつての地球に生命起源分子が飛来したのかもしれない。また条件さえ整えば、太陽系外の未知の惑星に生命起源分子が漂着する可能性は十分にある。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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