7月上場のテクニスコ:産業用レーザー向けヒートシンク主力 上場調達資金で新工場建設
2023年11月4日 07:21
テクニスコ(東証スタンダード)。産業用レーザー向けヒートシンク、車載センサー・医療機器向けガラス製品の製販が両軸。今年7月に上場。未だ湯気が立っている株式市場の新参組。
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上場の前期2022年6月期は「26.1%増収、301.4%営業増益、189.5%最終増益」と絶好調。が上場直後の23年6月期は、早々に洗礼?を受けた。前期の反動もあるがテクニスコでは、「高性能ヒートシンク製品が上半期に、中国のゼロコロナ政策と電力不足の影響で取引先工場の稼働が生産調整を強いられ、市場取引価格の低下の影響を受けた。が今年1月以降は好転の兆しが見え始めた」と説明している。
今期計画にも「好転の兆し」が反映されている。「21.1%の増収(64億7500万円)、56.5%の営業増益(4億2700万円)、35.6%の最終増益(3億100万円)」とし、こと配当に関しては「現時点では未定」と含みを感じさせている。
テクニスコに興味を覚えたのは、上場によって得た資金を「ヒートシンク製品の生産拡充に向ける」とし、具体的に「広島新工場建設」に言及している点だ。主力製品製造の具体的な強化ほど、分かりやすい上場の理由はない。
ヒートシンク(金属製品事業の主役)は光通信・高出力半導体レーザー・パワー半導体・コンピューターの心臓部に使われるMPUなど向けの製品。吸収した熱を空気中に発散(放熱)することで、冷却をする部品。
ガラス製品事業はHPで、モバイル機器・半導体・医療用のガラス製品が具体的に記されているが、興味深かったのはセンサー向け。いわば人間の五感に当たる機能を果たすという代物。
1970年2月に、精密切断研究所として設立。半世紀余が経つが、切る・削る・磨く・メタラズ(非金属の表面を金属膜化する)・接合の5つの加工技術を武器に今日に至っている。
昨今、「IPO初値の抑制を」とする方向・気運が高まりを見せている。「小さく生まれ大きく育てる」という流れだ。
テクニスコの上場(7月26日)初値は、914円。公開価格560円を63%方上回って生まれた。本稿作成中の時価は600円台前半から半ば。26日に980円まで買われ、8月18日に572円まで利食い売りをこなしたかたち。が信用取引の買い残68万6400株(売り残ゼロ)は膨らんでいる人気を象徴しており、地相場入りしたかどうかの判断は難しい。しばらくは「様子見」が賢明と思えるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)