価格改定・業界不祥事のいま、後発医薬品原薬:コーア商事が好収益継続の何故

2023年10月25日 16:00

 コーア商事ホールディングス(東証プライム。以下、コーア商事HD)。後発医薬品の原薬販売が主力。子会社を介し注射剤・経口剤の製販も手掛けている。

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 周知の通り、高齢化社会の進行⇔社会保険費増加という中で、後発医薬品のニーズが高まっている。日本ジェネリック製薬協会によると「2022年度通期の後発薬の数量シェアは80.7%」となり、政府がこれまで目標としてきた80%を超えた。富士経済では「2018年に9557億円だった市場規模は、23年には1兆2727億円に達する」としている。

 その一方でここ数年来、後発医薬品業界で不祥事が発生している。象徴的なのが業界首位だった日医工の、不適切な品質管理の常態化(2021年3月、業務停止命令発動)。結果、後発品を中心に医療用医薬品の3割が供給不足という状況にある。

 そうした環境下で2020年6月期以降のコーア商事HDの収益動向は、こんな状況にある。20年6月期「5.4%増収、92.4%営業増益、167.0%最終増益」/21年6月期「11.1%増収、45.4%営業増益、22.4%最終増益」/22年6月期「14.2%増収、12.7%営業増益、10.4%最終増益」/23年6月期「8.3%増収、11.6%営業増益、13.9%最終増益」。そして今6月期も「4.2%増収(229億8000万円)、3.1%営業増益(43億8000万円)、3.1%最終増益(27億7000万円)」計画。今期予想を含め史上最高益を連続更新といった具合だ。

 前記の市場動向が示すように、需要がその最大の要因であることは理解できる。がこの間の薬価改定は「低下」の一途・・・

 コーア商事HDは現社長の首藤利幸氏によって創業された。1970年にカナダに留学した。後発医薬品を知った首藤氏は「同じ効果があるのなら価格が安い方が良い」と受け止めた。が、当初は漠然とした思いだった。それが1991年に起業の背中を押されたのは、「(折りまさしく)高齢化社会が進む日本では、後発医薬品の持つ意義は大きい」という確信だった。

 そして首藤氏は、経営者だった。後発医薬品は安いから価値がある。しかし薬価改定で価格引き下げの流れが進む中では、価値はあっても経営として成り立たない。そこで選択したのが、鎮痛解熱剤から抗がん剤まで幅広く手掛けていたイセイ(現コーアイセイ)との資本提携(20年6月)だった。

 本稿作成中の時価は720円水準(予想税引き後配当利回り1.3%余)。IFIS目標平均株価1400円。2018年6月上場の初値で買い持ち続けていると、調整後株価ベースでパフォーマンスは2.2倍弱。中長期保有が賢明ということだろうか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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