ビーロットに着目したい4つの理由
2023年10月12日 08:25
ビーロット(東証スタンダード)。中古のオフィスビルやマンションの収益力を高めて売却、が主軸。
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4つの点から興味を覚え、原稿を書きたいという気になった。
(1)配当政策: これまでは「業績に応じた利益還元」を施策として掲げてきたが、8月14
日づけで「株主への利益還元姿勢を明確にするため」とし「配当性向30%以上を目標とする」と方針転換。
(2)上場市場: 9月15日に『プライム市場の上場維持基準に向けた計画に基づく進捗状況(変更)及び、スタンダード市場への選択申請及び適合状況について』と題するニュースリリースを配信。
(3)収益動向: 新たな姿勢を打ち出した。
(4)至2023年の中計: 大幅な拡充計画。
まず「(1)」については、率直に歓迎したい。配当は株式投資の魅力の一方の柱。具体的な目標の設定は、投資家の銘柄選定に貴重な材料となる。
「(2)」はリリースに接した際、表現は妥当でないかもしれないが「地に足が着いた企業」を実感した。
東証の市場再編に対し、東証プライム上場を目指してきた。が流通株式時価総額(100億円)基準に対し、22年年末の実数は58億1000万円。24年末までの猶予期間を申請、クリアを目指してきたが「断念」し東証スタンダード市場への上場を再申請した。10月23日の移行を予定している。
例えば22年末の株主数は2万7298名(スタンダード市場基準400名)、流通株式時価総額58億1000万円(同10億円)。東証の市場再編の意図(外国人投資家への日本株投資の誘発)は理解する。がスタンダード市場選択が、ビーロットの企業価値を下げるとは思えない。現に今年6月末時点で外国人持ち株比率は4.8%に及んでいる。外国人投資家は同社の収益力を評価し買っている証し、と捉える。
「(3)」は、2023年3月期から着実な立ち直り基調に転じた。今3月期計画は「9.0%増収(285億円)、28.0%営業増益(25億円)、5円増配90円配」計画。第1四半期は前年同期比「17.1%増収、営業利益4400万円(黒字転換)」で立ち上がった。そしてビーロットでは経営施策として、「ホテル、オフィス、太陽光発電など収益率が高い販売用不動産を、賃貸用に振り替え安定的なストック収益増を図る」方向を打ち出した。
「(4)」は、「売上高300億円(21年3月期比28.2%増)、営業利益30億円(57.9%増)」を掲げている。
本稿作成中の時価は9月7日の年初来高値3400円から、2割強下値。予想税引き後配当利回り2.7%余。(記事:千葉明・記事一覧を見る)