2世紀目入りした養命酒の、「両利き経営」戦略は買えるか
2023年9月27日 06:19
養命酒製造(東証プライム)。今2024年3月期は創業101年目となる。「新たな100年」に向け老舗企業は「攻めの姿勢」を明確にしている。
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(1)22年5月の「配当政策の基本方針の変更」なども、その1つ。「至27年の新中計の
業績推移等を勘案し、年間配当金の下限を45円(従来36円)/配当性向60%程度を目安(30%程度)とする」とした。
(2)中計では「売上高200億円(22年3月期比89%増)、営業利益20億円(2倍)を目指す」としている。
(1)に関しては既に22年3月期:配当性向58%、23年3月期:創立100周年記念配10円を加え55円配(74.4%)。そして今3月期は5.6%増収も「33.2%営業減益、18.7%最終減益」計画ながら、45円配当(74.9%)予想とした。何故かは後述する。
(2)に関しては、新たな1世紀の経営を養命酒では「両利きの経営」と位置付けている点に集約される。過去100年間を牽引してきた養命酒と関連商品(高麗人参酒やのど飴etc)の堅調さを維持しつつ、新しいもう1本の経営の柱を構築しようと言うのだ。
「くらすわ事業」。そもそも養命酒は1602年(慶長7年)に、いまの長野県上伊郁群で誕生している。彼の地に本店を設け「地産地集(全国の主たる食材を集めた)」レストランの展開に注力している。前期末で長野県下に5店舗を、そして東京スカイツリータウン店を運営。加えて五養粥や和養生にゅうめんの通販を始めており、「体に良いものが、当社の基本」と訴求している。
養命酒では「両利き経営」の新柱の注力にどのくらいのコストが・・・について数字的な言及はしていない。が通り一遍の「エネルギー価格や原材料高で・・・」とする一方で、「くらすわ関連事業に係る先行投資負担」が今期の減益要因と言及はしている。
そんな養命酒の株と、どう付き合うか。時価は1800円台終盤、予想税引き後配当利回り1.9%余。1780円の年初来安値(1月11日)から1900円台入り口まで買われ5月に1800円水準まで調整後、ジリジリと水準戻し9月5日の1934円(年初来高値)まで買い直され高値ゾーンの推移。
時価の見方は「PBR0.60倍の修正によるもの」と、「中計に示された新たな1世紀の方向を買おうとするもの」に分かれる。ちなみに過去10年余の修正済み株価パフォーマンスは17%強。がいかにも「配当性向60%程度目安」は魅力的に映る。(記事:千葉明・記事一覧を見る)