10%台半ばの営業利益率&ROE2桁続く:ウェザーニューズの実態を覗いた
2023年9月22日 08:23
ウェザーニューズ(東証プライム)。航海・鉄道・航空向けに強い、民間の気象情報提供で世界首位。1986年に創業者の故石橋博良氏により設立された。
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キッカケは、1970年1月に福島県小名浜港を襲った爆弾低気圧(台風or熱帯性低気圧とは別物。中心気圧が24時間で24hpaを超える急速な気圧低下を示す温帯低気圧)により貨物船が沈没。15名の死人を出した大事故。石橋氏は「船乗りの命を守りたい。本当に役立つ気象情報があれば、この事故は防げたかもしれない」と、ウェザーニューズを立ち上げた。以来、半世紀超。筋金入りの気象予報企業である。
収益動向を追うと、2022年5月期の営業利益率は14.8% 。前期は15.4%。そして今期は、「6.6%の増収(225億円)、7.5%の営業増益(35億円)、4.3%の最終増益(25億円)10円増配120円配」計画。営業利益率15.6%。またちなみに今期予想を含むこの間の配当性向は、51%/50.5%/53.0%。
実際にどんな経営状況なのか。前期決算をチェックしてみた。
★主軸の航海・航空・陸上気象は、前年度比平均12%の増収。注目したいのは売上高で最大規模の航海気象分野。景気回復に伴う輸送需要の落ち着きで、サービスを提供している航海数が減少。が5.8%増収の55億300万円の売上となった。背景は新たに導入されたCII格付け制度。国際海事機関が定めたもので総トン数5000t以上の船舶を対象に、「航行距離1海里以上の船舶の単位当たりの炭素排出量を測定」し、5段階の格付けを行う。ウェザーニューズでは「環境運航対応サービスの売上が増加した」としている。
★モバイル・インターネット気象が、気象災害トピックや台風情報への関心の高まりで専用アプリの需要を伸ばした。前年度比14.8%増収の78億2900万円を売り上げた。
BtoB事業の堅実な伸びに加え、BtoS事業が拡大傾向を強めている。
ウェザーニューズは至2026年5月期の中計でも、効率経営に拍車をかける姿勢を明らかにしている。
●売上高260億円(23年5月期比23%増収)。営業利益率20%以上。
●長期安定配当。DOE(株主資本配当率)3%程度を基準とする。
そんなウェザーニューズの株と、どう取り組むか。本稿作成時の時価は6400円余。予想税引き後配当利回り約1.5%。昨年初冬から右肩上がりに転じ2月に7170円まで買われ、8月18日の6170円まで調整し目下戻り基調。IFIS目標平均株価は8000円。中計を買いに向かうのも一法か。(記事:千葉明・記事一覧を見る)