パーキンソン病対応老人ホーム:PDハウスの原点は現社長の原体験だった
2023年9月13日 15:58
サンウェルズ(東証グロース市場)。待望久しい企業が昨年6月、上場した。パーキンソン病対応の老人ホーム(PDハウス)を主軸とした、介護事業者である。「上場初年度の決算を確認してから」と原稿化を躊躇したことをいま、いささか悔いている。
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上場前年度の2022年3月期の「55.8%増収、52.2%営業増益、206.6%最終増益、11円配」に対し、前3月期は「62.9%増収、192.5%営業増益、206.6%最終増益、15円増配26円配」。そして今3月期も、「38.9%の増収(190億5200万円)、105%の営業増益(29億4700万円)、95.1%の最終増益(15億3000万円円)、10円配(23年4月1日付けで1対3の株式分割を勘案すると実質増配)」計画で立ち上がった。
収益動向からも、「待望久しき」を理解いただけると思う。
周知の通りパーキンソン病は、高齢者に多い認知症と並ぶ難病。脳が体を動かすための指令を調節する「ドバミン」と呼ばれる物質の減少により起こる。症状としては「体の震え」「動作の緩慢」「筋肉のこわばりによる手足が動かしづらくなる」「転びやすくなる」が指摘されている。日本人の1000人に1~1.5人の割合で患者がいるという。
そうした難病を患った人のための「PDハウス」が、サンウェルズにより前期末で20施設運営されている。具体的には・・・
■神経内科専門医による訪問診療。
■専門医の監修による個々の患者(入居者)に特化したリハビリプログラムの提供。看護師・介護師・リハビリ職員によるプログラムの実施。
■24時間体制の訪問看護。パーキンソン病では特に薬剤コントロールが重要。専門医の指示のもと、24時間体制で看護師による薬剤調整や医療措置が施設内で可能になる。
2011年に金沢市内の3つの福祉介護施設が合併し、居宅介護施設・訪問看護事業所・有料老人ホーム・サ高住・グループホームなどの展開を始めたのが入り口。介護業界参入の契機は、創業者社長:苗代亮達氏の原体験だった。苗代氏は、こう振り返っている。
「19歳から24歳の間、大病を患い入退院を繰り返した。落ち込む日々だった。そんな中で、いつも元気で前向きな看護師さんの笑顔に元気をもらい、幸せを感じることができた時間があったことを今でも覚えている。私と同じ病気や障害を持ってしまった方をサポートしたいという想いから・・・」
サンウェルズにはいま順天堂大学医学部脳神経内科の服部信孝教授を始め専門医と顧問契約を結び、共同研究やPDハウス運営で連携体制を執っている。
注目し続けたい企業である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)