人類の祖先は恐竜と共存し、恐竜絶滅を生き延びたか 英ブリストル大学らの研究

2023年6月29日 16:13

 人類の祖先である有胎盤哺乳類の出現は恐竜滅亡後なのか、それとも恐竜が生きていた時代にはすでに現れていたのかという疑問については、従来研究者の間で意見が分かれていた。だが英国ブリストル大学の研究は、この論争に終止符を打つかもしれない。

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 ブリストル大学の科学者らを中心とする研究チームは27日、有胎盤哺乳類の起源は大量絶滅よりも少し前で、短い期間ながら恐竜と共存していたことを証明したと発表した。さらに言えば、これらの種が大量絶滅時代を生き延びることができたことは、現在の人類の繁栄を見れば明白な事実だ。

 種の起源と絶滅の時期を推定するためには、その種が化石で初めて出現した年代を起源とし、その種の科数が時代の経過とともに増加してゆき、やがては減少に転じていくトレンドを化石年代ごとに丁寧に調べていく必要がある。そしていったん誕生した種の科数がゼロになる年代に、その種は絶滅したということになる。

 今回研究チームは、恐竜絶滅前後の時代における化石に残された、様々な種の起源と絶滅パターンを調査した。研究の結果、人類の祖先である霊長類を含め、ウサギ目(ウサギとノウサギ)および食肉目(イヌとネコ)は、恐竜絶滅時期の数百万年前に出現し、恐竜の大量絶滅の直前に進化した(つまり、種の科目数が増え始めた)ことが明らかになったという。また恐竜絶滅後の約2,000年間で、種の科数が大きく増えていったことも判明した。

 この研究では、種の科数の変化を追跡することで、地球上で起こった環境の変化やそれによってもたらされた生命進化の謎を詳しく推測することが可能であることを示した。だがこれは、哺乳類というある程度広い種の範囲であったためだ。

 種を人類というごく狭い範囲に限定すれば、具体的にどのように進化を遂げて、現在の知的生命体に至ったのかは分からない。ホモサピエンスが20万年前に突然出現したことだけは分かっているが、ホモサピエンスに直接繋がる種の系統図は描けないままなのだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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