21期連続増収・営業増益:JPMCが拡充と取り組むAI戦略

2023年5月31日 09:09

 JPMC(東証プライム、旧日本管理センター)は、賃貸住宅のサブリース(一括借り上げ)の専業。好調な収益動向が続いている。21期連続の増収・営業増益、今期予想を含め4期連続増配。改めてJPMCを覗いてみて、「AIの時代」を実感させられた。こんな施策が執られていた。

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「AIコールセンター」: AI音声認識エンジンを活用し、入居者からの問い合わせに対応する。顧客管理システムとのシームレスな連携で、サービスの向上を高める。

「AI査定」: 積み上げてきた独自情報をAI技術にインプットし分析することで、募集条件や賃料の査定に活かす。

「AI入居審査」: AI技術により、入居審査を自動化する。

 前2022年12月期は、「5.3%増収、3.8%営業増益、36.9%最終増益、4円増配48円配」。そして今期も、「2.3%の増収(575億円)、8.9%の営業増益(26億円)、10.1%の最終増益(17億5000万円)、3円増配51円配」計画。前期の内容を確認すると、こんな具合だ。

★プロパティマネジメント(PM)事業: コロナウイルス感染拡大の影響で、営業活動に制限。受注・受託は想定を下回った(期末の運用戸数は前期末比64戸増)。が既存運用物件のPM事業の収益改善施策が奏功。売上高は524億3900万円。

★PM付帯事業: 賃料滞納保証事業、保険事業が順調。売上高24億2700万円(5.5%増)。

★その他: JPMCは「スクラップ&ビルドを繰り返さない」を基本方針としている。リフォーム事業が順調に推移。だが販売用不動産の売却が無く、売上は13億6000万円(12.0%減)。

 環境は総じて弱含みでも、そうした中で着実な歩みが読み取れる。至2025年12月期の中計にもJPMCに沁みついた体質が顕著に見て取れる。

 「増収・営業増益継続には、運用戸数の着実な増加が不可欠。16万戸(21年12月期比50%増)」「売上高770億円(48%増)」が掲げられている。そして「賃貸管理・建築・リフォーム」を担うパートナー企業(現状:1400余社)を堅持しつつ、「ふるさぽ(高齢者向け住宅運営)」といった新規分野の注力を支えるパートナー企業の整備に取り組む姿勢を明らかにしている。

 また冒頭に記した「AI活用」を軸にした、システムの全面的な刷新に3年間で5億5000万円を投じる。M&Aの模索に前向きなことも明らかにしている。なお歩みは着々だがROEが示すように(前期末22.1%、今期予想23.0%)、儲け上手な顔も持ち合わせている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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