毎日コムネットの下期集中型収益構造に、改めて驚かされた が、課題もある
2023年5月24日 18:46
毎日コムネット(東証スタンダード市場)。地主に学生専用マンションを提案、サブリース(一括借り上げ)方式での開発・受託管理展開が主軸。(学校との提携を含め)学生向け福利厚生の代行も手掛ける。
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不動産関連の上場企業では、「収益下期偏重型」は少なくない。毎日コムネットもそんな1社だが、表現は適切でないかもしれないが「中途半端」ではない。
2021年5月期はコロナ禍の影響で「5.3%減収、33.9%営業減益、20.6%最終減益」と大幅な落ち込みとなったが、前5月期以降回復基調。「11.0%増収、18.9%営業増益、16.1%最終増益」。そして今5月期は「8.0%の増収(204億円)、1.8%の営業増益(18億1500万円)、4.0%の最終増益(11億5000万円)」計画。
承知はしていたつもりだが4月6日の第3四半期の開示を確認し、いささか「大丈夫かいな」という懸念に駆られた。売上高こそ進捗率75%も、「営業利益は45.3%、最終利益も47.4%」水準。ましてや四季報は独自に「最終益13億円、最高益更新(従来は19年5月期:12億5000万円)」と、増額していた。
毎日コムネットを調査対象の1社とするアナリストは、「問題なし。22年5月期の3Qの純益進捗率は32%水準」とした。
株価もその当たりは百も承知。発表翌日の終値は779円と1月13日の年初来安値から、右肩上がりをいささかも崩さない流れ。そしていささか悔しささえ覚えたのは、5月18日引け後の上方修正。期初計画をそれぞれ「売上高:211億9000万円、営業利益:20億8000万円、純益:13億5500万円」とした。
株には「習性」があることを、改めて痛感した。
そのうえで改めて、毎日コムネットを調べ直してみた。こんな事実を知った。
★前記の大幅減益を強いられた21年5月期も28円配当を継続。配当性向52.9%。前期・今期も28円配だが、それぞれ配当性向は45.6%/43.8%。
★配当政策は、中長期視点でも株価動向に好影響をもたらしていた。過去9年余保有し続けていると、修正値ベースで株価パフォーマンスは2.6倍に達している。
毎日コムネットは学生向け旅行業を入り口に、首都圏の大学生の合宿・研修やスポーツ・イベントなどの企画・運営を経て学生向けマンションの企画・開発・運営管理に至った。
敢えてあら探しをするわけではないが、より個人投資家に評価される存在になるには「特定株比率(22年11月現在)69.3%」が1つの壁と考える。現会長:伊藤守氏及び資産管理会社、共同創業者で専務の原利典氏が保有する株だ。動向を見守りたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)