土星で新たに62個の衛星を発見 ブリティッシュ・コロンビア大
2023年5月17日 16:32
ブリティッシュ・コロンビア大学は10日、土星で新たに62個の衛星を発見したと発表した。この発見により、日本の国立天文台が「惑星の衛星数一覧」で「報告された総衛星数」として5月16日に更新した最新データによれば、土星の衛星の数は145となり、木星の衛星数95をはるかに上回る形となった。
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エドワード・アシュトン博士を中心とするブリティッシュ・コロンビア大学の科学者らからなる研究チームは、海王星や天王星の衛星探索で大きな実績を残した「シフトアンドスタック」法を土星の衛星探索に初めて適用し、今回の発見につなげている。
「シフトアンドスタック」法は、一定の時間内に撮影された複数枚の画像をある速度でずらしながら重ねて見ることで、衛星の速度に合致する天体の像だけが強調されることを利用した技術だ。
この方法では、画像をずらす速度をどのように設定するかが重要で、62個の衛星を発見できたということは、この研究チームでは少なくとも62種類以上の速度条件を使って、地道にチェックをしてきたことになる。
今回の研究では、ハワイのマウナケア山頂に設置された口径3.58mのカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡により、2019年から2021年にかけて撮影された合計3時間にわたる連続写真を使用。最小で直径2.5kmの衛星を発見できたという。
土星にこのようにたくさんの衛星が存在する理由は、何らかの原因でもともと土星を周回していた比較的大きな衛星どうしの衝突が起こり、その残骸が多数の衛星を構成しているためではないかと、科学者たちの多くは考えている。
実は2月に木星で12個の新たな衛星の発見が報じられたばかりで、その際に木星が衛星数で太陽系首位に躍り出ていたが、わずか3カ月で土星に首位を奪還された形だ。さらに今後も新衛星の発見が予想されるため、首位争いは混とんとした状況が続いていくのかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る)