予想ROE13.0%&純資産増でPBR0.92倍まで回復のトーセイとはこんな会社
2023年5月12日 08:29
トーセイ(東証プライム、P&Cシンガポール)。首都圏のオフィスビル・賃貸マンションの再生・販売が主軸。ファンド運用・不動産開発・ホテル運用も手掛けている。
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2020年11月期こそはコロナウイルス禍の真っただ中で、49%の営業減益に陥り23円減配19円配を余儀なくされた。が、19年11月期から前22年11月期の平均営業増益率は約17%、配当も51円まで戻している。
そして今11月期も「20%の増収(850億円)、9.6%の営業増益(148億2400万円)、9.2%の最終増益(93億8800万円、過去最高益連続更新)、9円増配60円配」計画で立ち上がった。前期のROE12.5%、今期予想13.0%と儲け上手ぶりを示している。
確かに金利上昇傾向という、不透明要因はある。また都心5区のオフィスビル賃貸市場には23年に大量供給が予定されている。懸念材料は皆無ではない。だがトーセイは中計の最終年度となる今期計画が示す通り、「堅調」を感じさせる歩みの姿勢を崩していない。それを裏付けるのは、前期決算のあり様と捉える。改めて覗き込んでみた。
『不動産再生事業』: ビル・倉庫など33棟、中古区分所有マンション127戸を販売。対してビル・賃貸マンション等33棟、土地4件及び中古区分所有マンション125戸を仕入れ。という流れの中で棚卸資産評価損・同戻りいれを計上している。
『不動産開発事業』: ビル1棟、新築分譲マンション:93戸を販売。戸建て住宅も105戸販売。賃貸マンション開発用地4件、賃貸アパート開発用地3件、オフィスビル開発用地2件、96戸分の戸建て住宅用地96戸分を取得。一方、保有収益不動産の評価見直しで棚卸資産評価額を計上。
『不動産賃貸事業』: 保有賃貸用棚卸資産25棟を売却。新たな収益オフィスビル・賃貸マンション等26棟を取得し空室のリーシングに注力。
『不動産ファンド』: 運用案件の差し替え・入れ替え、新たなアセットマネジメント契約で年度末の受託資産残高は1兆7228億9600万円と前年度末比4864億4200万円の増加。
『不動産管理事業』: 35棟増加の計793棟。注目すべきは沈み気味だったホテル・物流施設が478棟となっている(23年9月にはトーセイホテルココネ築地が開設予定)。
<<昨年11月末段階で前年同期比18%増:953億円の在庫を有しているが、今期も820億円規模の仕入れ目標>>とも、前向き姿勢を崩していない。
トーセイは2013年段階で日本企業では13年ぶりに、アジアの金融市場:シンガポール株式取引所に上場している。その目的を、「注力事業であるファンド事業拡充の為」と発信している。
純資産の積み上げでPBR0.92倍まで買われてきたトーセイ、注目に値すると思うが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)