介護業界売上8位のソラストが積極的M&Aで目指す、地域トータルケアとは
2023年4月20日 15:28
介護業界の再編(M&A)の動向については、「メリット/デメリット」論が交錯している。私は「メリット」を唱えている。何故かは極論すると「DX化の推進だ」。今春103歳になった父親は、介護施設の住人。介護現場の煩雑さを15年近く、目の当たりにしてきた。
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介護職者の仕事は多岐多様に亘る。一方でその報酬の低さは長らく指摘されてきた。こうした状況の改善は、「DX化で介護職者の仕事を減らす」「大手資本の介入で処遇のアップを図る」ことが入り口、と認識するからである。
ソラスト(東証プライム)。医療機関からの業務委託・医療機関への人材派遣を主軸に事業展開を図ってきたが、介護事業の拡大にも注力している。その戦略の主軸を2020年(首都圏で訪問介護・居宅介護支援・通所介護を手掛けていた、日本エルダリーケアの完全子会社化)の頃から、M&Aに置いている。
2021年から22年の介護業界売上高ランキング(保育事業も含む)で、第8位に位置するまでになっている。今年に入っても立て続けに、こんなリリースが配信された。
『三井住友海上ケアネットの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ』(2月28日)。三井住友海上ケアネットは、首都圏及び名古屋の7事業所で、有料老人ホーム・居宅介護支援・訪問介護を運営している。
『メディカルライフケアの株式取得(子会社化)に関するお知らせ』(4月11日)。その目的を「自立支援と地域トータルケアを理念に、その実現に向けて2030年には売上高1500億円、介護サービスを提供するエリアを現在の3倍(300エリア)に拡大し、全てのエリアで訪問介護・通所介護・居宅介護支援・グループホーム・有料老人ホーム他の施設を1事業所以上で運営することをビジョンに、M&Aを積極的に活用していく」としている。
完全子会社化後もメディカルライフケアは「神奈川県を中心に、通所介護やグループホームなど18事業所の運営を継続していく予定」としている。
地域トータルケアを、広報担当者はこう咀嚼した。「1人1人の高齢者生活圏の中で複数の介護サービスを提供することで、高齢者の介護ニーズに応えることを目指すコンセプト。生活圏(=1エリア)は地域の広さや人口に応じて、中学校区/半径5-20km圏/市町村単位となる」。
なお2019年に技能実習生として入社したベトナム・ミャンマーからの第1期生7人が、介護福祉士に今年合格した。現在総勢41人の外国人人材が働いている。こうした流れでも業界を牽引している。
来年梅雨時には後期高齢者の仲間入りする身。ソラストを応援する意味で昨年来安値水準の時価を拾い2.6%水準の予想税引き後配当利回りを糧に、時価の倍水準のIFIS目標平均株価を待ってみるかと思ったりもするが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)