フリーランスと企業のマッチング: ランサーズ創業者社長が語る「これまで・現状・今後の展望」
2023年4月18日 16:07
ランサーズ(東証グロース)。仕事を外注したい企業と受注したい個人(フリーランサー)のマッチングプラットフォーム、「Lancers」を運営している。指摘される「フリーランス市場の拡大」を牽引している。
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ちなみにランサーズの調べでは2015年に対し2022年には、「フリーランス人口:68.3%増の1577万人」「経済規模:62.7%増の23兆8000億円」。文字通り急拡大している。
ランサーズは創業者社長の秋好陽介氏により、2008年4月に起業された。今日までの15年間と今後の展開を、秋好氏(以降、秋好)に聞いた。
■Q:起業の経緯は?
秋好:私自身、大学時代にネット関連のVBを立ち上げフリーランスとして働いていた。優れたフリーランスの面々がいることを知った。卒業後は企業に身を置き、多くのインターネットサービスの企画運営を手掛けた。そうする中で、「フリーランスの活用」を痛感した。それがマッチングサイト「Lancers」を立ち上げる背景・契機になった。
■Q:以来15年間を経た今、どんな思いを抱いているか。
秋好:働き方もフリーランスの概念も大きく変わった。特にコロナ禍以降は、リモートワークが当たり前になった。2030年にはそういう時代になる、と考えていたが「新しい働き方」があっという間に実現した。
リモートワークで働きやすくなったことで時間の余裕ができ、副業やフリーランスとして活動するワーカーが増加した。企業側もフリーランスとして働くワーカーを受け入れやすくなったと感じている。大企業ばかりでなく長野県の花屋さんや福岡県の老舗の和菓子屋さんといった企業が、ランサーズで活動しているフリーランスと一緒に仕事をして業績を伸ばすといったケースも増えている。
■Q:現状の日本の働き方の課題をどう捉えているか。
秋好:時間と場所にとらわれない働き方が浸透してきた。だが欧米と比較すると、フリーランスという働き方が受け入れられていないと感じる。
フリーランスはプロフェッショナルな、一部の人と思われがちだがそうではない。副業で本業もしながらリスキングし、新しい業種や職種に挑戦する人もいる。こういった働き方が浸透し、企業も受け入れるようになると、より「誰もが自分らしく働ける」のではないか。
■Q:AI時代と働き方の変化をどう捉えているか。
秋好:AI時代に仕事がなくなってしまう、と懸念する必要はない。例えばランサーズに登録するプロの翻訳家の方が、「ChatGPTの文章に誤りがないかをダブルチェックする」プランを出していたりする。
AI時代にどんな仕事が求められるのかを考え行動する人や、最新技術を取り扱える人が活躍できると思っている。
■Q:フリーランスという働き方への日本人の意識と、「これまで・現状・今後の見通し」の秋好さんの認識は?
秋好:創業時は珍しい働き方であり、企業側も受け入れづらい環境だった。それがコロナ禍で国の後押しもあり、副業を含めたフリーランスという働き方をする方の拡大で状況は確実に変わってきた。今では一部のIT企業にとどまらず、街のクリニックなどもフリーランスに仕事を依頼するケースなども増えている。
通称フリーランス保護新法の制定などは、国が「フリーランス」を1つの働き方として認めている証左だと言える。そうした国策のシフトは、例えば副業で週末に違う企業で働くのが当たり前になる状況を推進させる引き金になる。当たり前になる。それが誰もが「自分らしく働ける」社会に繋がっていくと認識している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)