ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が135億年前の銀河を発見 国際研究チーム
2023年4月5日 08:31
宇宙は今から約138億年前に誕生したとされるが、それからわずか3億2千万年後の最古の銀河が、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡を用いて発見された。国際研究チームが明らかにしたもので、研究の成果は、4月4日にネイチャーアストロノミーで公開されている。
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ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡は昨年本格運用が開始されたばかりだが、従来にない非常に優れた赤外線検出能力を持つ。膨張する宇宙のはるか彼方からやってくる光の波長は、赤方偏移によって赤外線領域にシフトするため、その光を捉える能力が従来の望遠鏡と比較にならないほどハイレベルなのだ。
今回発見された4つの銀河は、赤方偏移Zが10.3から13.2となる。これらを年代に換算するとZ=10.3の場合、ビッグバンから4億5千万年後でZ=13.2の場合、ビッグバンからわずか3億2千万年後となる。つまり今回発見された銀河は今から134ないし135億年前のものということになる。
これらの銀河は太陽質量の1億倍しかなく、我々の銀河系の質量(太陽質量の1兆5千億倍)と比較して極めて小さく、金属含有量も極めて少ないという。2月に発見されたばかりのビッグバンから5ないし7億年後の銀河は非常に大質量であったため、誕生時期が少しずれているだけで銀河の規模が著しく異なることも判明した。
ちなみに我々の銀河系が誕生したのは今から130億年前だ。当時の質量が太陽の1億倍程度であったとすれば、130億年間に1万5千倍にまで質量が膨れ上がったことになる。
ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の本格運用実績はまだ1年足らずで、今後さらに古い銀河の発見も期待されている。
現在人類が観測できるもっとも古い光はビッグバンから38万年後のものだ。したがって、限りなくそれに近い年代にまで銀河をさかのぼることができれば、まさに誕生しようとしている銀河の姿を捉えられるかもしれない。それらの銀河の姿を時系列的に並べていけば、誕生から135億年以上に渡って進化していく銀河の歴史すべてを人類は知ることになるだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)