グローバル・リンクに見る、金利上昇が懸念される中での都市部不動産の活況

2023年3月23日 16:00

 グローバル・リンク・マネジメント(東証プライム、以下グローバル・リンク)。東京都区内を中心に中規模な投資用建造物(マンション・ビル)の開発・販売、そしてオーナーの受託を受け運営・管理を手掛けている。

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 前2022年12月期から連結決算に移行しており単純比較は出来ないが、21年12月期に更新した過去最高純益:14億2300万円に対し17億円の実績を残し、17円増配52円配とした。そして今12月期も「12.1%の増収(400億円)、43.6%の営業増益(37億5000万円)、43.9%の最終増益(21億円)」計画。

 グローバル・リンクの手掛ける投資用不動産の特徴は、以下の3点に収斂される。

★広い顧客層: 一般法人・個人に加え、金融機関・保険会社など機関投資家。

★取り扱い不動産の幅広さ: 自社・共同で土地・建物を開発。新築から中古のレジデンス・非レジデンスに及ぶ。

★販売・運用方法の幅広さ: 1棟バルク(まるごと)販売が主軸だが、区分販売やファンド化も展開。

 前期の決算資料にも、そうした「特性が強み」とする自負が窺える。

<1棟バルク販売を推進し、23棟・797戸を販売。区分販売は新築・中古合計で180戸区分を販売。売上高は328億1734万円、セグメント利益は34億6323万円>

<管理戸数は2727戸。売上高28億5604万円、セグメント利益2億642万円>

 そしてこうも明らかにしている。「23年12月の引き渡し・決済予定の1棟バルク販売は22物件・992戸予定」「23年度引き渡し、計画超の1006戸契約完了」。

 言い換えれば、先々を見据えた準備は着実に進んでいるというわけである。至2024年度の中計「売上高500億円(22年度比100億円増)、販売戸数1400戸は既に射程距離に十分入っている」と発信しているとも言えよう。

 ちなみに2月10日には開発用地取得に関し、こんなリリースを配信した。

◆東京都墨田区、共同住宅。507.34m2。取得予定日8月31日。当該物件の期間損益への寄与は、2025年12月期以降となる予定。

◆購入先との守秘義務により購入先の詳細及び取引内容の詳細等については、公表は控える。

 この限りでは「早々と肝心かなめの商売の素に手を打っているのだな」と感心するだけだが、「(取引金額の)公表は差し控える」としながら「取引価額は直前期である2021年12月期の純資産の30%に相当する額を超える」では守秘義務違反に抵触するのではないか!?

 それにしても「金利上昇に転換か」が問われるいま、都心部の不動産取引は依然として活発なようだ。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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