純資産額増加基調:PBR0.8倍の日本農薬は買いと捉えるが如何か!?
2023年2月28日 15:46
日本農薬(東証プライム)。農業用製剤の専業大手。海外での売上高比率が7割近い。収益動向は堅調。
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前2022年3月期の「14.5%増収、0.8%経常増益、3.5%最終増益」に続き今期も「11.5%増収、7.5%経常増益、0.1%最終減益、1円増配16円配」計画で立ち上がったが、第1四半期開示と同時に「22.3%の増収(980億円)、37.7%の経常増益(78億円)、22.6%の最終増益(54億円)」に上方修正。開示済みの第3四半期も前年同期比「29.9%増収、42.7%経常増益、21.6%最終増益」で通過した。
対応商品の幅は広い。【水稲剤】では殺虫剤・殺菌剤・殺虫殺菌剤・除草剤を、【園芸・果樹・畑作剤】でも同様の用剤を販売している。2021年10月からは農薬のグローバルブランド:コルテバ・アグリサイエンス日本法人の商品の販売も手掛けている。強みである海外販売に関し第3四半期の決算資料は、こう謡っている。
「世界最大の農薬市場:ブラジルの需要拡大基調に加え、サトウキビ向け除草剤需要の増加でブラジル法人の売り上げが伸長。北米でも棉のコナジラミ多発による殺虫剤が好調に推移し現法の売り上げ増。欧州でもばれいしょ向け除草剤好調で現地法人堅調etc、海外部門の売上高は前年同期を大きく上回った」。
実は今回、日本農業の原稿をと考えたのは2月21日のマーケット欄に掲載した『増加が指摘される、低PBR企業に関する一考察』がキッカケだった。知人から「PBR1倍を割り込んでいる銘柄について、貴方が考える『買ってよいと思う基準を教えろ』」という連絡だった。「自分で調べろ、自己責任だ」とはねつけようとも思ったが、それも余りに愛想なし・・・、私が個人的に「基中の基」と捉えている1点を答えた。
PBR1倍割れは、1株当たりの「総資産-負債=1株当たり解散価値」が時価より低いことを意味する。要は、(1株当たり)純資産の動向が買いを考える場合重要になる。
決算短信を繰っていくと、財務動向の欄の1番初めに各期末の「純資産額」が表示されている。それが「増加傾向か否か」をチェックすべきと認識している。
本稿作成時の日本農薬の予想PBRは、0.8倍。2019年9月期の値は581億9800万円。それが期を追うごとに583億7200万円、620億7100万円。前3月期は669億5600万円。そして今期第3四半期末時点では702億6300万円。「私流」では「買い」となるが・・・。ちなみに時価700円出入りの予想税引き後配当利回り1.8%強。昨年来高値964円を待ってみるのも一策と思うが、いかがか。(記事:千葉明・記事一覧を見る)