地球に水をもたらした小惑星群の起源を特定へ ハイデルベルク大の研究
2023年2月22日 16:05
太陽系の惑星は火星を境にして、より内周を周回するものとそれより外周を周回するもので、特徴が異なる。前者は地球型惑星と呼ばれ、岩石でできた惑星で、後者は木星型惑星と呼ばれ、主にガスでできた惑星である。
【こちらも】地球の水、地球誕生前からすでに太陽系に存在 仏国立科学研究センター
このような惑星の分化が起こったのは、太陽系誕生初期における温度に大きく起因する。地球型惑星が形成されたより太陽に近い領域は、高温で水が存在していたとしても、蒸発して宇宙空間に飛散してしまう。いっぽうで木星型惑星が形成された領域では、低温のため水は氷として存在できる可能性がある。つまり、常識的には現在地球に水が存在しているのは、奇妙なことなのだ。
現在地球の水の起源は、木星型惑星が形成された領域で誕生した小惑星が、何らかの原因で地球に飛来したことによるものと考えられている。そしてそのような小惑星が、地球型惑星や木星型惑星のいずれにも属さない新しい分類の存在であることが、ハイデルベルク大学の研究によって明らかにされた。
研究によれば、天体表面の反射率が0.1未満の低アルベド小惑星は、原始太陽系微惑星と太陽系星雲が活動していた条件の記録を、保持しているという。だがその起源については、謎が多かった。
火星と木星の公転軌道間にある小惑星帯を周回する準惑星ケレスは、その代表格だ。研究では、それより外側を周回する直径100km未満の多数の低アルベド小惑星について、可視光と近赤外線スペクトルを分析。その結果、ケレスと同じスペクトルの特徴と、組成を有していることが判明したという。
また太陽系初期の状態をモデル化した数値解析をシミュレーション。その結果、これらのケレスに似た小惑星が、太陽系のより外側の領域で誕生し、それから150万年ないしは350万年というごく短い期間に、現在の小惑星帯の領域に移動したことも明らかになった。
これらの小惑星は非常に多孔性の内部を持ち、水を氷の形で含有しており、それらの一部が地球に飛来して水をもたらしたのではないかと考えられているという。
なお研究の成果は、「Nature Astronomy」誌に掲載されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る)