東証プロマーケット市場上場という回り道をした、ニッソウの狙いと野望
2023年2月11日 09:41
ニッソウ(東証グロース)。ニッソウ自らが語っているように「ニッチな市場に特化した、リーディングカンパニー」。首都圏を中心に住居やオフィスの「原状回復工事」や、「リノベーション」を手掛けている。
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平たく言えば単位(単価)が小さい。入居者がいるケースも多く納期も短い。故に「大手企業が手を出しづらい」分野。言い換えれば、そこに対応するのが「うちの強み」という次第。
1988年に現社長の前田浩氏により、リフォームオフィスとして設立された。当初はBtoCで開始。しかし「端から単なるリフォーム屋では終わらない」という思いを前面に、走り続けてきている。
「とにかく、存在(名)を広めなくては」という施策を次々に打ってきた。「新聞の折り込み広告」や「雑誌・交通広告」に始まった。そして次はTV・ラジオへ。例えば「時代劇リピート枠:遠山の金さん・暴れん坊将軍・三匹が斬る!」(Jcom)や「アッコのいいかげんに1000回」(ニッポン放送)、「峰竜太のミネスタ」のラジオコマーシャルetc。とにかく社名・事業の露出にこだわった。
長らく証券市場と関わってきた1人としては、その執念?は2018年の通称:東証プロマーケットへの上場に痛感する。プライム市場・スタンダード市場・グロース市場とは全く異質の取引市場。金融商品取引法で定められた「特殊法人」「独立行政法人」だけが参加できる市場。プロマーケットに参加する特定投資家は、通常市場には参加できない。
何故、そんな市場に上場したのか。2つの用途が指摘されている。「特別な投資家の目に晒されることで、企業の質的向上が図られる」、そして「知名度が上がる」である。プロマーケットのステップを踏んだことが、20年の名証ネクスト上場を実現したともいえよう。20年には東証にも上場を果たした。
年間の取扱件数は、1万件を超える。中小規模の不動産会社、約2000社との取引実績を誇る。30年以上の積み重ねた実績の中で手にしたもの。収益動向も「着々」が実感。
前2022年7月期は「25.7%増収、39.3%営業増益、34.1%最終増益(過去最高益更新)」。対して今期計画は、6.6%の増収(37億3500万円)も「12.0%営業減益(1億9300万円)、9.9%最終減益(1億2300万円)」計画。
売り上げ増予想が示す通り、業務需要は順調に増える。「資材費・外注費・人件費増」が減益要因。だがそこには、ニッソウの次なるステップへの構えが読み取れる。
25年7月末:96人体制(22年末57人)を明らかにしている。「営業強化策」と言ってしまえばそれまでだが、ある種の「野望」が隠されている。
これまでの主たる商圏は首都圏。ニッソウでは「全国施行ネットワーク構築を標榜」とする。全国のリフォーム事業を手掛ける工務店との連携だ。応じる工務店には「協力店として、担当エリアとの関連のある不動産会社を紹介する」という。そこに課金が発生するかどうかは現時点では、見えない。が、ニッソウの名を全国区にする引き金にはなる。
本稿作成中の時価は2200円水準。未だ「地相場」とは言い難い。だが見守り続けたい企業ではある。(記事:千葉明・記事一覧を見る)