物流2024年問題の解決策は多様化、栗林商船のRORO船に高まる期待
2023年2月1日 08:11
「物流2024年問題」が危惧されている。トラック運転手の過重労働に対し、「年間残業時間960時間」の規制がかけられることが主因とされる。物流の在り様の多様化が図られなくてはならない。
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そんな視点から、栗林商船(東証スタンダード)は注目に値する企業と考える。国内貨物の海上輸送「内航海運」の大手企業だ。RORO船(貨物を積んだトラックやトレーラーごと輸送する船舶)がその主軸。
発地(港)ではトレーラーが乗船し、荷物を積んだシャーシ(荷台)を切り離して船側(せんそく:船べり)に載せ、トレーラーヘッドだけが下船する。着地ではトレーラーだけが乗船しシャーシを連結、そのまま下船し陸送する。そんな枠組みの輸送方法だ。最近では時速20ノット(1ノット=時速1.852km)の高速船も登場している。
栗林商船の内航海運については、こんな指摘が聞かれる。
★3000台以上のトレーラーを保有。国内最大規模の海陸複合一貫輸送を実現している。
★国内最大級の「神加丸」をはじめ、6隻のRORO銭を運航。北海道から沖縄までの日本全国をカバー。
★各RORO船には電源設備も設置し、冷蔵冷凍車の輸送にも対応。
栗林商船の前3月期は「12.7%増収、営業損益1億400万円の黒字転換」と、経済活動立ち直りの影響を映した。主力の内航海運事業は「売上高434億200万円(前年度比7.3%増)、営業利益3億6100万円(41%増)」。対して今期はホテル事業の底打ち感もあり「7.2%増収、523.8%営業増益」計画で立ち上がり、中間期開示と同時に「9.4%の増収(495億円)、15.8倍の営業増益(16億円)」に上方修正した。
栗林商船ではその理由を、「経済が回復基調にあり海運事業で、北海道航路で雑貨市況の上昇が続いたこともあり輸送量が増加。船舶の大型化や配船の見直し等による合理化の取り組みにより、想定以上に費用は減少した。依然として厳しい経営環境にあるホテル事業も業績の回復基調が見受けられた」とした。
収益動向を占うカギは、第一に「経済状況の推移」であることは論を俟たない。また「回復基調に」というホテル事業もポイントになる。ちなみに中間期時点の状況は「売上高7億6700万円(前年同期比40.2%増)、営業損失7600万円(2億6300万円減)」。
物流の多様化に不可欠な内航海運。そのリーダー役といえる栗林商船を株価はどんな具合に見ているのか。本稿作成中の時価は400円台終盤。予想税引き後配当利回り1%。昨年来安値(6月の416円)から高値(8月の527円)後は値域内の値動き。24年問題に対する危惧が一段と現実味を帯びるまで、押し目買いで対応したいところ・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)