ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、131億年前の銀河と若い銀河の類似性発見 NASA

2023年1月12日 07:52

 私たちの宇宙は、およそ138億年前に誕生したと考えられている。最新のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はその驚くべき解像力から、宇宙が誕生して間もない頃に発せられたかすかな光を捉え、その時代に起こっていた様々な事実を明らかにしつつある。

【こちらも】120億年前の銀河周辺からダークマターの存在を検出 名大と東大ら

 NASAゴダード宇宙飛行センターは10日、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、131億光年の彼方にある銀河を捉えたと発表。この銀河は、2009年に発見された地球から15億~50億光年離れた銀河(通称グリーンピース)と類似性があるという。

 グリーンピース銀河は、直径が私たちの銀河系(以下、銀河系)の10分の1以下しかなく、質量は100分の1程度に過ぎないが、星の形成速度は銀河系の実に10倍にも達する活発な活動を示すことで、知られていた。

 NASAによれば、この銀河が示す酸素、ネオン、水素、ヘリウムのスペクトル強度と、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で捉えた131億年前の銀河のそれらには、きわめて近い類似性があることが見いだされたという。しかも宇宙誕生初期の銀河サイズは約4000光年ほどと推定され、グリーンピース銀河の大きさにほぼ一致する。

 ただし違いもあり、グリーンピース銀河の酸素量は銀河系の20%程度あるが、131億年前の銀河の酸素量は銀河系の0.1%程度しかないことも判明した。これほど遠くにある銀河の酸素量の測定が可能になったのは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が始動したからだが、同時に宇宙に存在している銀河の誕生年代ごとに酸素含有量が異なることも明らかになったわけだ。

 NASAの研究者によれば、少なくとも131億年前までは、我々の銀河系が有する酸素量の2%以下しか含有しない銀河が宇宙には存在していたが、時間経過とともに銀河の含有酸素量は増加していったと見られる。つまり、銀河の酸素量を知ることができれば、その銀河の誕生時期が推定できることになる。

 地球の大気には約21%の酸素が含まれている。人類は宇宙の歴史の中で、ほんの最近のごく一瞬に誕生したに過ぎないが、宇宙は人類が生きられる環境を育むために長い時間を費やしてきたのかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連記事

最新記事