民間の月探査「HAKUTO-R」、着陸船が2度目の軌道修正

2023年1月6日 09:03

 「HAKUTO-R」は、日本の民間企業ispaceによる月面探査ミッションだ。その第1弾”ミッション1”(以下、M1)は、2022年12月11日にスペースX社のファルコン9ロケットによって打ち上げられた。直ちに月へ直行するのではなく、約4カ月をかけて、宇宙空間を長期間航行させたのちに月面に到達するというものだ。

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 月に直行していれば数日で月面着陸となるが、打ち上げから約3週間が経過した現在の状況は、目標に向かって遠い道のりの途上での軌道を整える段階にある。具体的には月着陸船がロケットから無事分離に成功し、管制室との通信を確立。航行の状態がリアルタイムに把握され、必要に応じて適切な制御がなされている状況だ。

 ispaceは2日、2度目の軌道制御マヌーバを完了したと発表している。軌道制御マヌーバとは、軌道を変えるために推進システムを作動させることを指すが、初回マヌーバは打ち上げから4日後の12月15日に実施されている。今回発表のあった2度目のマヌーバは、初回よりも長時間にわたるだけでなく、より地球から離れた地点における深宇宙での軌道制御が可能であることを確認できたという。

 M1は2023年1月2日時点で地球から約124万kmの地点を航行中で、1月20日頃には地球から最も離れた約140万kmの宇宙空間を航行する予定だという。M1には10のマイルストーン(Success1~Success10)が設けられており、現在はSuccess4までクリアできている。

 打ち上げから1カ月後の1月11日あたりには、Success5の達成状況に関するアナウンスがあるはずだ。その際に2度目の軌道修正結果に関する情報もさらに詳しく明らかにされるかもしれない。

 民間会社が、地球から100万km以上も離れた宇宙空間を航行する探査機の軌道制御に成功を収めている事実は、世間ではあまり騒がれてはいないものの快挙ではないだろうか。だが、これからはさらに難しい課題が待ち受けている。今後の推移を楽しみに見守ろうではないか。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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