土星の衛星エンケラドスに生命は存在するか 人工衛星で探査する方法 アリゾナ大ら

2022年12月29日 08:44

 宇宙で生命が誕生する確率は、フレッド・ホイルによれば10の4万乗分の1という少数では0を4万個も並べなければ表示できないとてつもなく小さな値だ。だが、人類はこのような極めて可能性の低いものを地球以外の星に探し求めて、全知全能を傾けている。

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 この12月にアメリカの惑星科学ジャーナルで土星の衛星エンケラドスで生命発見の具体的な方法と可能性に関する研究論文が公表された。研究に取り組んだのはアリゾナ大学とパリ大学の科学者らによる研究チームで、エンケラドスに周回衛星を派遣するだけで(つまり技術難度の高いエンケラドスに着陸船を派遣しない方法で)、生命の存在の証拠を突き止める方法と可能性が示された。

 犬や猫などのかなり進化した高等生物が、地球外で存在する可能性はほぼゼロだが、地球深海の熱水噴出孔で見出されたバクテリアのようなものであれば、地球外で存在できる可能性はあると科学者は考えており、その存在の痕跡は周回衛星探査で確認が可能であるとこの論文は主張する。

 エンケラドスでバクテリアの存在に期待がかかる理由は、NASAの探査機カッシーニによって、エンケラドスの表面から噴出する巨大な水プルームが観測され、生命の材料となるメタンを含む有機化合物の存在が確認されたためだ。地球深海の熱水噴出孔に生息するメタン生成菌が、エンケラドスにも存在すると仮定した場合、それらが生成したメタンの痕跡は、エンケラドスの上空にまで飛散する水プルームを周回衛星でキャッチできる可能性があり、それを分析することでメタン生成菌生息の証拠を特定できるというのだ。

 このチャレンジが成功してエンケラドスで生命の痕跡を確認できれば、熱水噴出孔のある惑星で生命が誕生できる可能性が高いことがほぼ証明される。ただし、地球やエンケラドスにたまたま同じ起源の生命が宇宙から飛来した可能性も否定できない。これを否定するには地球の成層圏でのバクテリア生息を否定する必要があるが、この件はまだ研究途上の段階だ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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