市場の新顔、かつ成長最中な特化型医薬品企業:あすか製薬とはこんな会社
2022年12月28日 08:30
あすか製薬ホールディングス(東証プライム。以下、あすか製薬)は、創業者:故山口八十八氏により1920年「帝国社臓器薬研究所」として産声をあげた。翌21年に「男性生殖腺ホルモン製剤(スペルマチン)」、22年には「甲状腺製薬(チラージン)」を発売。今日のあすか製薬の道筋をつけた。2020年6月に創立100周年を迎えている。
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あすか製薬の事業は、大きく3つに分類される。
(I)ホルモン製剤の研究・開発・製販を軸に、「内科」「産婦人科」「泌尿器科」分野に特化した付加価値製剤の提供。
(II)「動物用医薬品」「動物用肥料添加物」事業。
(III)培ってきた技術・ノウハウを基にした、ステロイドホルモンを始めとした生理活性物質の測定機器等の開発・製販。
2021年4月、上場。早々にプライム市場の基準を満たしている「特異な医薬品」企業として、株式投資の対象としても注目されている。
22年3月期は「売上高566億700万円、営業利益47億9500万円、純益42億9000万円、15円配」。そして今3月期は「1.6%増収、1円増配15円配」も「12.4%営業減益、23.1%最終減益」と、「早くも小さな壁に遭遇か」と思わせる計画。が、中間期開示と同時に「5.9%増収(600億円)、8.5%営業増益(52億円)、2%最終減益(42億円)」に上方修正。
「医療用医薬品で新発売の月経困難治療薬:ドロチエや、レルミナ(子宮筋腫・子宮内膜症治療剤)など産婦人科領域の新製品が好調。アニマルヘルス事業で肥料添加物等の堅調な推移」と、理由を説明した。
ちなみに中間期実績は医薬品部門が「前年同期比4.8%増収、12.3%営業増益」、アニマルヘルス事業が「15.9%増収、1.0%営業増益」。決算資料を読み進んで行くと「その他事業」として、前年度発売の「毛髪ホルモン量測定キットが好調に推移」という事実も知った。
中間期の決算説明会では、こんな遣り取りもあった。
「LEP製剤(月経困難治療剤)市場のポテンシャルは」-「ここ数年で20%近い年間平均成長率だが、海外に比べまだまだ低い」
「コンパニオンアニマルの領域の総売上高比率が低いようだが」-「帝国臓器製薬及び他社から譲受した肥料添加物事業が畜水産向けという経緯ある」
後者の遣り取りであすか製薬へ「コンパニオンアニマルって何」と尋ねた。「旧ペットは癒し系。コンパニオンアニマルはいわば飼い主の伴侶。そんなトレンドの変化から・・・」と聞かされて、初めて知った。皆さんはご存知でした!?
特化型医薬品メーカーとは、なんとも興味深い企業が株式市場に登壇した。(記事:千葉明・記事一覧を見る)