コシダカHDの収益急回復は、カラオケは不滅の証し!?
2022年12月22日 08:52
「まさかここまで」とは思わなかった。四季報:2023年新春号をパラパラ読みした。頁を捲り始めて間もなく業績欄に【急回復】と題された、コシダカホールディングス(東証プライム。以下、コシダカHD)が目に止まった。
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「カラオケまねきねこ」を展開。2019年8月期の営業利益:95億700万円に対し20年8月期は16億9900万円に急降下、21年8月期には30億9200万円の赤字に転落。それが22年8月期に22億500万円に回復、今期予想は74億4300万円(236.8%増益)とまさに急回復。
厳しさが「コロナ禍の影響」であることは、容易に想像ができる。だが正直なところ収益動向もさることながら、「カラオケはそれほど世に普及しているのか」と驚かされた。
コシダカHDの22年8月期の決算資料は、こう語っている。
「第7波に伴う出控えなどの影響で、既存店ではコロナ前を下回る水準で推移した。が、コロナ禍でも48店舗(カラオケ用)を開設。前年度末比23店舗増の582店舗が稼働した」
「海外でも徐々に営業が再開され、一部では営業時間等の制約が解除された。韓国:4、マレーシア:6、インドネシア:1の11店舗が稼働の歩みを再開した」
「結果カラオケセクターは、売上高でコロナ前の2019年8月期とほぼ同水準の361億7800万円(前年度比88.5%増)、セグメント利益は96億400万円改善の30億1200万円と黒字化を実現した」
まず国内の大量新規開設に、そして海外市場にも「カラオケまねきねこ」が進出していることに驚かされた。
そもそもカラオケがこの世に登場したのは、1970年代とか。最初はマイクがついた小型のジュークボックスに伴奏用のテープを入れて歌う形だったという。スナックや宴会場の酒の席で使われたとか。カラオケの意味は「空のオーケストラ」。それがいまや6000億円市場。
コシダカHDは2000年の設立。腰髙善治が1964年に群馬県前橋市に開業した「上州ラーメン(新盛軒)」店(6店舗まで開業)が祖業。現社長の腰髙博氏は新盛軒に入社。「人気化」の様相を強めていたカラオケ店に業態転換の言い出したのは博氏だったという。1990年に店名こそ違うが、カラオケ店を開業している。「機転」というか時流を見定めるに「敏」だった「新起業」といえよう。
そんなコシダカHDは今23年8月期の計画は、「40.4%増収、236.8%営業増益、21.9%最終増益、2円増配10円配」。株価も切り返し傾向を強めており、過去10年間の修正値ベース株価パフォーマンスは4倍強まで急回復している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)