シマノが2回の上方修正 その背景と、来期計画:円想定への興味
2022年11月1日 08:39
シマノ(東証プライム)。変速機や減速機など自転車用部品で世界首位、内外で釣り具も手掛けている。
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シマノの今12月期の収益動向から、改めて「急速な円安進行」を確認させられた。そもそも過去10期間の収益状況を振り返っても、「増収回数:9回、営業増益回数:8回」といった実力派優良企業ではある。
前期は「44.6%増収、79.3%営業増益、87.3%経常増益、82.7%最終増益(過去最高益)」。そして今期も「6.1%の増収(5800億円)、8.6%の営業増益(1610億円)、6.0%経常増益(1617億円)、1.3%最終増益(1175億円、連続最高益更新)」の着実な計画で立ち上がった。
だが中間期開示(10月25日)と同時に、経常利益と最終利益をそれぞれ「14.4%増(1745億円)、10.7%増(1284億円)」に上方修正。更に第3四半期開示に合わせ、「8.0%増収(5900億円)、10.3%営業増益(1635億円)、27.1%経常増益(1885億円)、17.6%最終増益(1363億円)」に再上方修正。
理由は原材料高対応の製品値上げ(世界首位の強さ)であり、何と言っても急激な「円安」の進行。シマノは期初段階で海外売上高比率を、89.9%と想定している。
中間期段階での内外市場動向をシマノの発信をベースにチェックすると、こんな具合だ。
『自転車部品』: 北米市場:ハイエンドクラス(最高級)の完成車向け需要が底堅く、ミドルクラスの需要回復基調。アジア中南米市場:自転車のブーム一巡感やエントリークラス(初心者向け)の在庫不足も、日本市場のスポーツ自転車・電動アシストバイクの需要が底堅く推移。総じてロードバイク向け高級モデル品や電動アシストスポーツバイク用コンポーネントシリーズの引き合いで、「前年同期比17.2%増収、20.2%営業増益」。
『釣り具』: 日本市場ではファミリー層や初心者向けが一服も、中高価格帯製品が順調。世界的には、急速な釣りへの関心の高まりに落ち着き感。北米市場や欧州市場は底堅い展開。アジア市場は韓国・台湾の好調の一方、中国ではロックダウンの影響で個人消費が減退。豪州市場は底堅い。結果、中国市場の低迷で「4.5%増収(542億3500万円)、5.8%営業減益(113億3500万円)」。
今後についてシマノのIR部門では、「普及品向け電動変速製品の追加」「最高級品のボトルネック(障害)解消」と当面の課題を示す。だが「円安動向」を勘案する時、来期計画の積算は難しいと言えよう。来期計画からシマノの為替想定が窺える!?(記事:千葉明・記事一覧を見る)