重力波観測による中性子星内部構造の解明 プリンストン大の研究

2022年10月18日 08:33

 重力波はと、ウィキペディアによれば、「時空(重力場)の曲率(ゆがみ)の時間変動が波動として光速で伝播する現象」とされ、2016年12月に初めて観測に成功したことが発表されたが、現在では様々な研究への応用がなされている。プリンストン大学は、重力波の観測データを用いて、中性子星の内部構造の解明に関する研究を行なっている。

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 重力波は巨大な質量をもつ天体が非常に高速で動く際に発生する場合が多く、中性子星やブラックホールを伴う連星系で複数の天体が合体する際に生じたものが、これまでに観測されている。ウィキペディアには6個の重力波源天体が紹介され、全てがこのパターンに該当する。

 中性子星は、半径12kmの中に太陽の1.4倍もの質量が凝縮されるほどの高密度で、内部構造を直接観測によって確かめるのは不可能だ。ましてや表面状態を光学望遠鏡観測で調べることも全く困難なのだ。

 プリンストン大学の研究によれば、中性子星が発する重力波信号のピークスペクトル周波数は、中性子星の質量や半径を知るうえで重要な手掛かりになるという。研究では、太陽質量の1.4倍、1.6倍、1.8倍、2倍の4種類の質量パターンの中性子星を想定し、それらの半径とピークスペクトル周波数の相関性を可視化している。

 太陽質量の2倍の場合には、ピークスペクトル周波数と半径との間に高い相関がみられるものの、それ以外のケースでは、ピークスペクトル周波数だけで半径を厳密に決定するには問題があり、中性子星の密度も考慮する必要があるという。

 従来、中性子星の半径はピークスペクトル周波数で一義的に決定できると考えられてきたが、問題はそれほど単純ではなく、プリンストン大学の研究は、この仮説に疑問符を投げかける結論となった。つまり中性子星のコア内で、相転移によって中性子がクォークと呼ばれる亜原子粒子に溶解している可能性まで視野に入れた検討が必要であることを、本研究では示唆している。

 今回の研究の成果は、米誌「アストロフィジカルジャーナル」に掲載されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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