産廃企業:ミダックを率いる加藤恵子社長の足跡

2022年10月11日 07:44

 ミダックホールディングス(東証プライム・名証プレミア、以下ミダックHD)。東海地盤の産廃物処理・管理業者。自社施設で焼却・脱水の中間処理、そして最終処理を展開している。

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 好収益が続いている。前2022年3月期の「11.9%増収、20.2%営業増益、26.1%最終増益」に続き、今期も「22.9%の増収(78億4400万円)、30.8%の営業増益(29億6200万円)、36.2%の最終増益(17億5000万円、連続最高益更新)」計画。

 産廃物処理の先行きに疑問符が示されている今、業者の動向はどんな状況にあるのかを知りたいと思ったのがミダックHDを「調べよう」という入り口だった。「26年4月の稼働を目指し、水処理施設建設を静岡県浜松市で計画」「埼玉県熊谷市に用地取得済みの焼却施設の計画策定中」と、前向きな姿勢を示している。

 だがそうした事実以上にミダックHDに惹かれたのは「創業の経緯」であり、現社長:加藤恵子氏の生き様だった。

 1952年、熊谷忠平氏によって創業された。糞尿処理が祖業だった。が、トイレの水洗化が進む中で「新たな事業を」と考えた熊谷氏が着目したのが、地元:浜松市内で無造作に捨てられていた「ゴミの山」だった。(産)廃棄物処理に業態をシフトした。人が嫌がる仕事に起業・成長の道を見出した起業家である。そして上場企業にまで押し上げていった。

 加藤恵子氏は、2002年に現デロイトトーマツ税理法人に税理士として身を置いた。顧客の1社がミダックHDだった。2006年に取締役経理統括部長として迎えられた。その後、管理部門統括を歴任。2017年:名証上場、18年:東証2部上場で中心的役割を担った。私は加藤氏に面識はない。が、あるインタビュー記事で、税理士からの転身をこう語っているのを知った。

 「税理士は結果しか見えない。終わった数字しか見えない。もっとこうしていたらよかったのに・・・ともどかしさを感じることがあった」。それが実業家に身を投じるキッカケというわけだが、こうした思考法を有する人材が男女を問わず出てくることは理想的だ。

 まして「企業の女性管理職の比率云々」の論議がなされるいま、加藤氏の発想法こそ女性が学ぶべきではないだろうか。

 2019年に社長に就任。同時に上場市場は東証・名証1部に移行している。「SDGs経営」に注力している。「具体策は社員から上がってくるものも多い」とする。日本政策投資銀行によると、「女性起業家への融資が増えている」という。

 加藤氏著の2022年2月に発売された幻冬舎刊の『Pure35歳、女性税理士が産廃会社を東証1部に上場させるまで』を、そんなスタートアップ企業の女性経営者に是非読んでいただきたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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