株価も「回復過程入り」を認める:しまむらの「何故」を読み解く
2022年10月10日 15:35
しまむら(東証プライム)。PBも含め低価格の実用・ファッション商品を展開している。そんなしまむらの復権は、本物か。2010年代後半から減益続きで推移しが、2020年2月期の営業利益:229億8500万円を底に回復基調に転じた。コロナウイルス禍の時期に復権を果たしたわけだが、その背景は何なのか。
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前期の「7.6%増収、30.0%営業増益、35.4%最終増益(過去最高益)、20円増配24円配」に続き今期も、「3.9%増収(6066億800万円)、5.3%営業増益(520億5800万円)、連続最高益更新(371億9700万円)、10円増配250円配」計画でスタート。
開示済みの第1四半期は「前年同期比4.8%増収、12.3%営業増益、15.1%最終増益」、と順調な滑り出しを見せた。また第1四半期・第2四半期の「既存店売上高」は前者が前年同期比103.7、後者が106.7と好調さを裏付けている。
低迷期と回復期のいまの違いは何なのか。第1四半期発表後のアナリスト説明会の「質疑応答」に、答えを垣間見ることができる。こんな具合だ。
Q、ヒット商品を生み出せるようになった要因
A、JB(サプライヤーとの共同開発)やキャラクター商品、インフルエンサー企画のヒット率が高くなっている。これまで集めてきたデータの充実を生かすために、商品部の分析スタッフの人員拡充が功を奏し始めたと認識している。特にこれまで苦戦していたアベイル(女性・男性のアウター衣料&靴・服飾雑貨)事業の郊外型店の売上を押し上げた。
Q、マクロ・ミクロで経済環境に変化が生じた場合の対応
A、在庫の過剰を防ぐことが一番のリスクオフになると捉えている。以前は半期単位で計画の100%の仕入れを半年前に実施していたが、いまは短期生産体制が進んでおり必要量の80%程度の仕入れを行っている。今後とも在庫管理の徹底に努めていく。また適正な在庫管理で不可欠なのは新規顧客・リピーターの獲得。そのためにECなど新しい顧客開拓に注力している。
Q、コスト削減の現状
A、例えばTVCMや折り込みチラシを減らし、セグメント別に効果が期待できるネット広告にシフトしている。
しまむらを担当する外資系証券のアナリストは「成長の糊代を占う上で、担当企業の注力分野をウオッチしている」とした上で、こう指摘した。「しまむらはいま、ベビーのファッション用品に力を注いでいる。半袖のTシャツやパンツ。ママインフルエンサーのインスタライブや動画配信、更には栄養士によるオンライン離乳教室なども展開している。第1四半期で売上208億円超と、中核事業の一角に育っている」。
株価もしまむらの回復を映し出している。2018年の大納会は8400円の年初来安値引けだったが、本稿作成中の時価は1万1000円台終盤水準。IFIS目標平均株価は算出者の10人中7人が「強気」で、1万4018円。(記事:千葉明・記事一覧を見る)