トヨタの相棒:デンソーの「下方修正」に、株価が無反応だった理由
2022年10月6日 16:49
デンソー(東証・名証プライム)。自動車部品で国内最大手。世界2位。トヨタ系(トヨタが筆頭大株主)。対応範囲は熱機器・エンジン・駆動系と幅広い。
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前期は「11.7%増収、120.0%営業増益、111.0%最終増益(過去最高益更新)、25円増配165円配」。そして今期も「15.1%増収、64.1%営業増益、64.5%最終増益(同)、15円増配180円配」計画でスタートした。
だが7月29日に、早々の下方修正。通期計画を「12.8%増収(6兆2200億円)、40.7%営業増益(4800億円)、13.9%最終増益(3780億円)」とした。過去最終純益更新は変わらずの下方修正。
この下方修正を株価は、どう受け止めたのか。引け後発表だが29日は先取りするかのように同日の終値は397円安の7234円。が、週明け8月1日は7573円とほぼ値下がり幅を埋める形で終わっている。「マイナス材料化している」用には受け止められない。
収益環境が好転していることは、前期決算に如実に示されている。決算資料は、こう発信している。
「国内外の半導体不足等による車両減産があったものの、新型コロナウイルス感染症による影響からの回復等により、・・・・・の増収となった」
「営業利益は車両減産の影響による操業度差損や電子部品を中心とした部材費・素材費・エネルギー費の高騰等、外部環境の影響があったものの、固定費低減や研究開発の効率化等、採算改善努力に、・・・・・の増益となった」
「日本市場はトヨタ自動車向けを中心とする販売の増加等があり、・・・・・の増収増益となった」
とどのつまりトヨタ、デンソーを担当するアナリストが揃って指摘するように「今期も半導体中心の部材費や流通費、エネルギー高で2000億円以上の(営業利益の)下押し要因があったが、トヨタ組独特の合理化効果やトヨタへの価格転嫁で収益基調は変わらない」ということだろう。
またアナリストは、こうも指摘する。「内製半導体の能力増強で、25年で5000億円(前期比2割増)計画。パワー半導体についても台湾の受託生産大手との協業で、新しい生産ラインが来年前半には稼働する。株価はそうした動向に目を向けていると捉えるべきだろう」。
デンソーの市場は広い。北米・欧州・(中国を除く)アジア地域。北米・欧州は前期、増収減益だがアジア地域の大幅伸長で、日本以外でも89.6%の増収、121.1%の営業増益となっている。(記事:千葉明・記事一覧を見る)