ビル2023年問題に「立ち位置が違う」と言い切る、ADワークスGの理由
2022年9月21日 17:39
まずは、お詫び。「ADワークスグループ(東証プライム)は150円水準。100株投資なら2万円もかからない。投資対象としてどうだろうか」と、知人に尋ねられた。瞬間、口を突いて出たのが「上場廃止になったんじゃなかったっけ」。ADワークスは確かに2020年3月末に、上場廃止になっている。だがそれは持ち株会社化のための上場廃止であり、廃止と並行しADワークスグループ(以下、ADWG)が上場している。
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失礼をカバーするため、ADWGを調べて見た。
目下、ADWGの事業は「収益不動産事業(I)」「不動産小口化事業」「プロパティ・マネジメント事業」「CVC事業」「建築工事事業」「海外不動産事業」。
中軸は「I」とされる。つまり都市部のオフィス・レジデンス・商業施設を購入しリノベーションを施しバリューアップ後、売却する。ちなみに売却後に賃貸といった形で活用される場合、管理業務・修繕業務を手掛ける。
前2021年12月期は変則9カ月決算。「売上高249億6100万円、経常利益6億5000万円、最終利益3億1200万円」。対して今期は、「20.2%の増収(300億円)、23.0%の経常利益(8億円)、23.0%の最終増益(8億円)」計画。
前期決算から具体的に現状を検証すると、以下のような具合。
★収益不動産事業: 低金利下での資金調達環境から好調に推移。コロナ禍以前に主力としてきた3~5億円クラスの居住用物件に加え、オフィス物件の中でも需要の高い10~40億クラスの中規模オフィス物件の仕入れ活動の積極化が奏功。不動産期末残高は過去最高水準になった。同時に平均賃料を上回る利回りを確保。
★不動産小口化事業: 金融機関との連携強化や、都心不動産に対する小口化投資需要を背景に堅調に推移。21年12月にシリーズ第5弾の「ARISTO渋谷」が完売。5物件、累計で67億円を完売・運用の状況となった。
ADWGは今後に強気の姿勢を示している。至23年12月期の第1次中計に顕著。「売上高306億円(今期計画比3%の増収)、経常利益20億円(2.5倍)」といった具合だ。正直、疑問は残る。
2023年問題。都区部でのオフィスビル等の大量竣工が「空室率の上昇につながる」という事情だ。が、ADWGは「当社のオフィスビルは中規模物件が主力。ご指摘の23年(空室率)問題とは、立ち位置が違う」とする。
さて私を慌てさせる相談を持ち込んできた知人に、どう答えるか。「投資は自己責任。が、時価の予想税引き後配当利回り1.8%水準は魅力的かもね」と言おう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)