スタグフレーション懸念とPB商品
2022年7月7日 16:48
5月31日の産経新聞Web版で、『値上げ相次ぐ中、プライベートブランド商品はなぜ安い』と題する記事に接した。プライベートブランド(PB)商品を多く手掛けるイオンや西友の広報担当者の「なぜ」に対する答えは、「製造会社と直接取引で大量に購入するため」「さまざまな面でコストダウンをしている結果」で共通していた。
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正直なところ、その範囲の知見は持ち合わせていた。ただ西友の「全国330店舗のレジをクラウドで一括管理する仕組みを構築、日々変わる商品の価格を各店舗でレジに入力する手間を省いた。1店舗当たりでは小さな効率化でも、330店分になると大きい」説明には、クラウドの時代の浸透を改めて痛感させられた。
PB商品市場の現状と今後を知りたいと思い、調べた。
レポートは2014年時点といささか古いが、公益財団法人流通経済研究所主任研究員:重冨貴子氏は、「日本におけるPB商品の市場規模は推計で、2014年に2兆8000億円、金額ベースの市場シェアは9%」とした上でこう続けている。「欧州ではスイス、スペイン、英国などを始めとしてPBシェアが40%~50%台に達する国々があり、15カ国でPBシェアが30%を超えている(13年)。米国は、欧州諸国よりシェアが低いものの、22%(14年)である。これらと比較すると日本のPBシェアは未だ低い水準にあるものの市場規模は拡大し、徐々に高まっている・・・イオン、セブン&アイともに売上高に占めるPB売上高比率は13%~14%に達し(14年決算)、経営上のPBの重要性も高まっている・・・」。
農水省でも市場規模(金額ベース)を、こうしている。「2007年時点で1兆6000億円、2010年で2兆4000億円、15年には3兆円超」と、拡充基調にあることを示唆している。
実は日本のPB商品(市場)の歴史は、決して昨日今日のことではない。1959年に百貨店:大丸がオリジナルスーツ(トロ―ジャン)を発売、翌60年にはスーパー:ダイエー缶詰みかん(ダイエーみかん)を売り出している。
PB商品が注目を集めるのは不景気のタイミング。円高不況の1980年代半ばには「ニューセービング、愛着仕様、COLTINA(いずれもダイエー)」、バブル崩壊後の90年代前半には「トップバリュ(ジャスコ)」「BEER OH!(西友)」が人気を集めた。
だがいま原材料高が進む一方で、景気回復の足音が弱い(消費需要停滞)中、つまりスタグフレーションが指摘される折り「PB商品人気」はさらに高まるのか否か、「PB商品を作る厳しい環境」に晒されるのか・・・!?(記事:千葉明・記事一覧を見る)