火星で最大の地震を観測 NASAジェット推進研究所

2022年5月11日 15:54

 地球以外で地震計を持ち込んで直接地震を観測した実績のある天体は、月と火星だけである。月や火星のような地球よりも小さな天体においても、地震は発生する。

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 例えば月における地震の多くは、揺れ始めから揺れのピークに達するまでの時間が地球の地震と比べると、遥かに長く、数十分程度かかる。また揺れが収まるのに数時間を要するケースもあり、月ではいったん地震が起きると、そこに住む住人は最大数時間もその揺れに悩まされることになる。また月では隕石衝突による地震もあり、地球とは地震の性質がまるで違う。

 NASAジェット推進研究所は、火星で5月4日、これまでで最大規模となるマグニチュード5の地震を観測したと発表した。これは2018年11月に火星に降り立ったNASAの探査機インサイトが観測したもので、これまでに1300回を超える地震を観測していると言う。

 それまで火星で観測された最大規模の地震は、2021年8月25日のマグニチュード4.2であった。またマグニチュード5と言えば、地球ではごくありふれた中規模程度の規模に過ぎないが、火星ではその大きさから考えて、理論上発生しうる最大の地震規模だと言う。

 他の天体に地震計を設置して、観測データを収集する目的は、地震波の伝わり方を観測し、その天体の内部構造の詳細を突き止めることにある。実はこれまでの観測で、火星においても地殻内部に液体の核が存在することが判明している。火星の半径はおよそ3400kmで、地殻の厚さは24から72km。液体の核に到達するまでの距離は地下約1600kmであり、核の半径は約1800kmである。

 地球では、地殻変動によりプレートの上にある大陸は絶えず移動している。地殻変動の原因は、プレートの下にある粘性の低い岩盤層が熱対流によって動くためと考えられている。だが火星には地殻変動がないにもかかわらず、地球と同様に火山活動は存在している。この理由は火星の地殻内部に多量の熱生成元素が存在しているためと推定されているが、より詳細については今後の研究課題である。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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